第 194 回

理想の返済計画とは?返済シミュレーションを上手に活用しよう

原 絢子

理想の返済計画とは?返済シミュレーションを上手に活用しよう

「生涯現金払いで生きる」という方は別にして、多くの人は、人生で何度かローンを利用すると思います。消費者金融でも「ご利用は計画的に」と常々アピールしていますが、その計画はどのように立てたらよいのでしょうか?

シミュレーションの重要性

金融機関のローン商品を紹介するサイトには、必ずと言っていいほどシミュレーション機能があります。
しかし、漠然とシミュレーションしても、「なんとなくこのくらいなら大丈夫かな」という曖昧な結果になってしまいます。

そこで、1つの方法として、返済額を検討する際には、毎月返済可能な金額の下限と上限を決めて、シミュレーションを行ってみることをお勧めします。

まずは下限額でシミュレーション

例えば、基本的にボーナス払いはないものとして、50万円(金利18%)を返済するとしましょう。

まずは、毎月の返済額の下限と上限を考えてみましょう。
「下限」とは、「最低限これ以上は返済する必要がある」という金額で、「上限」とは、「これ以上は生活に支障が出る」という金額です。

今回は、下限額を1万円、上限額を4万円とします。

下限額の1万円でシミュレーションすると

返済回数:94回(返済期間:7年10ヶ月)
総利息金額:43万1,125円
総返済金額:93万1,125円

という結果になりました。

総返済金額は借りた金額の倍近くに達し、8年近く返済を続けることになります。
「50万円だから利息があっても4~5年で返済可能だろう」と思っていると、予想と大きく異なる結果になります。

返済額を変えてシミュレーション

次は、、毎月の返済の上限額(4万円)に達するまで、返済額を変えてシミュレーションしてみます。

(1)毎月2万円を返済
返済回数:32回(返済期間:2年8ヶ月)
総利息金額:13万1,397円
総返済金額:63万1,397円

(2)毎月3万円を返済
返済回数:20回(返済期間:1年8ヶ月)
総利息金額:7万9,720円
総返済金額:57万9,720円

(3)毎月4万円を返済
返済回数:14回(返済期間:1年2ヶ月)
総利息金額:5万7,863円
総返済金額:55万7,863円

返済額を2万円にすると、総返済金額は30万円減り、返済期間は5年短縮されます。

返済額が2万円と3万円でもまだ差がありますが、3万円と4万円ではそれほど大きな差があるとは感じないのではないでしょうか。

返済額を決定する

毎月の返済額を検討すると、どこかで「これ以上は毎月の返済額を増やしてもメリットが感じられない」というラインが出てくると思います。

  • 返済額を1万円から2万円に増やす→総返済金額が約30万円減る
  • 返済額を2万円から3万円に増やす→総返済金額が約5万円減る
  • 返済額を3万円から4万円に増やす→総返済金額が約2万円減る

どれも増やした返済額は1万円ですが、減る総返済金額に差があるのがわかると思います。
毎月2万円の返済でよしとするか、3万円以上を返済して、さらに返済期間を短縮するかはご自身の判断になります。

まず2万円を返済することにして、余力がある時に追加で返済するというのも1つの方法です。

無理のない返済計画を

シミュレーションを行うことで、借りたお金の総返済金額と返済期間が明確になります。
今回は、毎月返済可能な金額の上限と下限を定め、その範囲で、ご自身がメリットを感じられる返済額を探すという方法を紹介しました。

これはあくまでも1つの方法です。
自分にとってベストの返済計画が見つけられるよう、シミュレーションを繰り返してみましょう。

ローン総合案内所 返済シミュレーション

執筆日2023年4月17日
監修日2023年4月20日

執筆者 原 絢子 (はら・あやこ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

自分で保険の見直しを行ったのをきっかけに、お金の知識を身につけることの大切さを実感し、ファイナンシャルプランナーとして活動を始める。
モットーは「自分のお金を他人任せにしない」。ひとりでも多くの人がお金を味方につけて、自分の思い描く人生を歩んでほしいと、マネーリテラシーの重要性を精力的に発信している。

監修者 坪谷 亮 (つぼや・たすく)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。

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