第 203 回
カードローンを利用していると、「できるだけ早く返済したほうがいいのでは?」と考え、繰り上げ返済を検討する方も少なくありません。
元金を減らせる一方で、手元のお金を繰り上げ返済に充てると、生活費や急な出費に使える資金が少なくなることもあります。
本記事では、カードローンの繰り上げ返済について、基本情報やメリットについてご紹介します。また、繰り上げ返済しない方が良いケース、検討できるケースもご紹介しながら、繰り上げ返済を検討する際のポイントや注意点も解説します。
カードローンの繰り上げ返済は、余裕資金がある場合には利息負担の軽減や完済時期の短縮につながるため、基本的には有効な方法です。
一方で、生活費や緊急時の資金まで繰り上げ返済に使うのであれば、無理に返済しないほうがよいでしょう。
カードローンの利息は、基本的に借入残高が多いほど、また借入期間が長いほど大きくなります。そのため、元金を早く減らせば、その後に発生する利息を抑えやすくなります。
ただし、早く繰り上げ返済をするために手元資金をほとんど使ってしまうと、病気やけが、家電の故障、冠婚葬祭など、急な支出に対応できなくなる可能性があります。
その結果、再びカードローンを利用することになれば、せっかく繰り上げ返済した効果が小さくなることもあります。
よって繰り上げ返済をするかどうかは、「いくら返済できるか」ではなく、「返済したあとも生活や今後の支出に対応できるか」を基準に考えることが重要です。
本章では、カードローンの繰り上げ返済の仕組みについて解説します。
カードローンの繰り上げ返済とは、毎月決められた返済(約定返済)とは別に、借入残高の一部または全部を追加で返済する方法です。
金融機関によって、「臨時返済」「随時返済」「任意返済」など、呼び方が異なる場合があります。
例えば三井住友銀行のカードローンでは、毎月決められた日に返済する「約定返済」と、余裕があるときに追加で返済する「臨時返済」が用意されています。
約定返済とは別に、追加で返済できる仕組みです。
一方、みずほ銀行のカードローンでは、毎月10日に返済用普通預金口座から自動で引き落とされる「約定返済」と、みずほダイレクトやATMからおこなう「任意返済」があります。
ただし、任意返済をしても毎月10日の約定返済は別途必要とされています。
このように、繰り上げ返済と約定返済の扱いは商品によって異なります。
追加で返済したから今月の返済は必要ないとは限らないため、利用しているカードローンの返済ルールを確認しておきましょう。
カードローンの利息は、一般的に借入残高、金利、借入日数などをもとに計算されます。
利息を「元金×金利÷365日×借入日数」で計算する商品もあります。
仮に50万円を年14.5%で30日間借りた場合、単純計算では、
50万円×14.5%÷365日×30日=約5,959円
となります。
ただし、実際のカードローンでは、返済によって借入残高が変化するため、毎回同じ金額の利息が発生するわけではない点は注意しましょう。
繰り上げ返済によって元金を早く減らせば、その後の利息計算のもとになる借入残高も小さくなります。
そのため、繰り上げ返済をしない場合と比べて、支払う利息を抑えやすくなります。
では、実際にどの程度変わるのでしょうか。
以下の条件で比較します。
毎月の返済額を1万円として、利息を月利で簡易計算すると、繰り上げ返済をしない場合は完済まで約78か月、利息総額は約27.2万円となります。
一方、12回返済した時点で10万円を繰り上げ返済すると、完済まで約58か月、利息総額は約17.6万円となります。
| 繰り上げ返済なし | 10万円を繰り上げ返済 | |
|---|---|---|
| 完済までの期間 | 約78か月 | 約58か月 |
| 利息総額 | 約27.2万円 | 約17.6万円 |
| 利息の差 | 約9.5万円減 |
※横にスクロールできます→
ただし、これはあくまでも簡易的なシミュレーションです。
実際のカードローンでは、利息の計算方法、返済方式、返済日、約定返済額などによって結果が異なります。
また、繰り上げ返済によって約10万円の手元資金が減るため、利息だけを見て判断するのではなく、返済後の家計も確認する必要があります。
続いて、本章では、カードローンを繰り上げ返済するメリットについて解説します。
具体的には、以下の3点が挙げられます。
以降で詳しく解説します。
繰り上げ返済の大きなメリットは、将来支払う利息を減らしやすいことです。
カードローンでは、借入残高が残っている期間に応じて利息が発生します。
そのため、元金を早く返済すれば、その後の利息計算の対象となる残高を減らせます。
例えば50万円を借りている状態で10万円を繰り上げ返済すれば、返済時点までに発生した利息などを除いた分だけ借入残高が減少します。
その後も返済によって残高が減少するため、繰り上げ返済をしない場合と比べて、その後の利息負担を抑えやすくなります。
実際には毎月の返済によって残高が変わるため単純ではありませんが、「元金を早く減らすほど、将来の利息を抑えやすい」という点がポイントです。
特に金利が高いカードローンほど、借入残高を早く減らすことによる利息軽減効果を意識しやすくなります。
繰り上げ返済をすると、毎月の約定返済だけを続ける場合よりも借入残高を早く減らせます。
そのため毎月の返済額を変えなくても、完済時期を早められる可能性があります。
前章の簡易シミュレーションでは、50万円を年14.5%で借り、毎月1万円を返済するケースで、12か月後に10万円を繰り上げ返済すると、完済までの期間は約78か月から約58か月に短縮されました。
カードローンの返済が長期化すると、その間は毎月返済を続ける必要があります。
早く完済できれば、以降はカードローンの返済に充てていたお金を別の用途に回せるようになります。
カードローンを完済すると、毎月の返済に充てていた資金を貯蓄や将来の支出などに回しやすくなります。
例えば、毎月1万円をカードローンの返済に充てていた場合、完済後はその1万円をそのまま貯蓄に回すこともできます。
ただし、「できるだけ早く返済すること」だけを目標にするのは適切とは限りません。
10万円の繰り上げ返済によって利息を数万円節約できたとしても、手元資金がなくなって急な支出に対応できなければ、家計全体では負担が大きくなる可能性があります。
カードローンを早く完済することだけを目的にせず、家計やライフプランも含め、生活に必要な資金を確保することの両方を考えることが大切です。
前の章ではカードローン繰り上げ返済のメリットについて解説しましたが、繰り上げ返済をしない方が良いケースもあります。
本章では、以下の3つのケースを挙げながら解説します。
以降で詳しく解説します。
繰り上げ返済によって生活費や緊急時の資金まで不足するのであれば、無理に返済しないほうがよいでしょう。
例えば預貯金が20万円あり、そのうち10万円をカードローンの繰り上げ返済に使うとします。
一見すると借入残高を大きく減らせるため有利に見えますが、残った10万円では今後の生活費や急な支出に対応できない可能性があります。
急な病気やけが、家電の故障、冠婚葬祭など、予定していなかった支出はいつ発生するかわかりません。
手元資金が不足した結果、再びカードローンを利用することになれば、繰り上げ返済によって減らした借入残高が再び増える可能性もあります。
近い将来にまとまった支出がある場合も、繰り上げ返済を急がないほうがよい場合があります。
具体的には、以下のような支出です。
現在の預貯金だけを見るのではなく、数か月先から数年先までに必要になるお金を考えておくことが重要です。
例えば半年後に車検で20万円程度必要になることが分かっているのに、その20万円をカードローンの返済に使ってしまうと、後から資金が不足する可能性があります。
繰り上げ返済をする前に、「今あるお金」だけでなく「これから必要になるお金」も確認しましょう。
収入の変動が大きい場合も、カードローンの繰り上げ返済よりも手元資金の確保を優先した方がよいでしょう。
自営業やフリーランスなどで月によって収入が大きく変わる場合、毎月の収入が安定している場合よりも、余剰資金を多めに残しておく必要があります。
臨時収入が入ったとしても、今後の収入が減る可能性がある場合は全額を繰り上げ返済に回すのは慎重に考えたほうがよいでしょう。
利息の軽減額だけでなく、「収入が少ない月でも生活できるか」という視点で判断することが大切です。
続いて本章では、カードローンの繰り上げ返済を検討できるケースについて、以下の3つに分けてご紹介します。
以降で詳しく解説します。
生活費や緊急時の資金、今後予定している支出に必要なお金を確保したうえで余裕資金がある場合は、繰り上げ返済を検討しやすいでしょう。
ただし、手元資金をすべて返済に回すのではなく、生活防衛資金などを残しておくことが前提です。
ボーナスや臨時収入を受け取ったとき、その一部を繰り上げ返済に使う方法もあります。
例えば、ボーナスで30万円を受け取ったとしても、30万円すべてを返済に使う必要はありません。
今後の税金、教育費、車検、旅行、家具・家電の購入など、まとまった支出を確認したうえで、余裕のある金額だけを返済に充てる方法があります。
「臨時収入が入ったから全額返済」ではなく、「今後使う予定のない部分を返済」という考え方にすると、家計への負担を抑えやすくなります。
繰り上げ返済は、まとまった金額を一度に返済する必要はありません。
金融機関によっては、毎月の約定返済とは別に、少額から追加返済できます。
まとまった資金を一気に返済することに不安がある場合は、家計に余裕がある月だけ追加返済する方法もあります。
ただし、少額であっても追加返済を続けることで生活費が不足するのであれば、本来の目的から外れてしまいます。
「毎月いくらなら無理なく返済できるか」を確認したうえでおこないましょう。
続いて、本章では、繰り上げ返済をしても大丈夫か迷った際に確認したい3つのポイントを解説します。
以降で詳しく解説します。
最初に確認したいのは、繰り上げ返済後の手元資金です。
現在の預貯金から繰り上げ返済額を差し引いたあと、日常生活に必要なお金や急な支出に対応する資金が残るか確認しましょう。
「返済できる金額」と「返済しても問題ない金額」は同じとは限りません。
例えば10万円を返済できるからといって、10万円すべてを返済に回す必要はありません。
手元に残すべき金額を先に決め、そのうえで余裕があれば繰り上げ返済に回すという順番で考えると判断しやすくなります。
次に、今後の支出を確認します。
現在の貯金額が十分に見えても、数か月後に大きな支出が控えていれば、自由に使えるお金はそれほど多くありません。
例えば、半年後に車検で15万円、1年後に引っ越しで30万円必要になるのであれば、それらの支出に備える資金を確保しておく必要があります。
繰り上げ返済を検討するときは、現在の家計だけでなく、数か月から数年先までの収支も考えることが大切です。
毎月の約定返済に余裕があるかどうかも重要です。
毎月の返済を無理なく続けられており、手元資金にも余裕がある場合は、繰り上げ返済によってさらに元金を減らす方法を検討できます。
一方、毎月の返済自体が家計を圧迫している場合は、繰り上げ返済を優先するべきとは限りません。
毎月の返済後に生活費が不足している場合、まとまったお金を使って繰り上げ返済しても、家計の根本的な負担は解消されません。
この場合は、毎月の収支、借入残高、金利、返済額などを整理し、返済計画そのものを見直すことが重要です。
本章では、繰り上げ返済をする以外で、カードローンの返済負担を見直す方法について解説します。
以降で見ていきましょう。
繰り上げ返済を検討する前に、現在の返済状況を整理しましょう。
確認したいのは、主に以下の項目です。
カードローンは商品によって返済方式や約定返済額の決まり方が異なります。
例えば三井住友銀行では、返済時点の借入残高に応じて約定返済額が決まる残高スライド方式が採用されています。
現在の返済額だけを見るのではなく、「このまま返済を続けた場合、いつ完済するのか」を確認することが重要です。
現在利用しているカードローンよりも低い金利の商品へ借り換えることで、利息負担を軽減できる可能性があります。
借り換えは、手元資金を使って借入残高そのものを減らす繰り上げ返済とは異なり、基本的には借入元金を維持したまま、より低い金利の商品へ変更する方法です。
例えば、現在50万円を年14.5%で借りている人が、年13.0%のカードローンへ借り換えた場合を考えてみます。
ただし、カードローンの金利は審査結果などによって決まるため、借り換えを申し込めば必ず低い金利が適用されるわけではありません。
実際に、楽天銀行も借入利率は借入限度額や審査結果によって異なると案内しています。
また、借り換え先の返済期間が長くなると、金利が下がっても支払う利息総額が大きくなる可能性があります。
そのため、「金利が何%下がるか」だけでなく、「最終的にいくら支払うことになるか」まで比較することが大切です。
以下の条件で簡易的に比較します。
月利を使った簡易計算では、以下のような結果になります。
| 方法 | 完済までの期間 | 利息総額の目安 |
|---|---|---|
| 年14.5%のまま返済 | 約78か月 | 約27.2万円 |
| 年14.5%で10万円を繰り上げ返済 | 約58か月 | 約17.6万円 |
| 年13.0%へ借り換え | 約73か月 | 約22.4万円 |
| 年13.0%へ借り換え+10万円繰り上げ返済 | 約55か月 | 約14.9万円 |
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この例では、年14.5%から年13.0%へ借り換えるだけでも、利息は約4.8万円少なくなっています。
一方、10万円を繰り上げ返済すると、金利を変えなくても利息は約9.5万円減っています。
さらに、借り換え後に10万円を繰り上げ返済すると、利息は約14.9万円となり、4つのケースの中では最も少なくなりました。
ただし、これは比較の仕組みを分かりやすくするための簡易シミュレーションです。
実際のカードローンでは、日割り計算、返済方式、約定返済額、返済日などによって結果が変わります。
また、繰り上げ返済には手元資金が必要です。借り換えは元金をそのまま残して金利を下げる方法なので、両者はそもそも性質が異なります。
「どれが必ず有利」と考えるのではなく、手元資金、現在の金利、借り換え後に適用される金利、返済期間などを比較して判断しましょう。
次に、カードローンの繰り上げ返済における注意点を解説します。
以降で詳しく見ていきましょう。
繰り上げ返済をする場合は、利用しているカードローンでどのような返済方法が利用できるのか確認しましょう。
金融機関によって、ATM、振込、インターネット、口座振替など、利用できる返済方法が異なります。
また、返済単位や最低返済額などの条件も商品によって異なります。
例えば三井住友銀行では、ATM、振込、インターネットバンキングなどから返済できます。
一方、楽天銀行スーパーローンでは、一部繰り上げ返済や一括返済が随時可能と案内されています。
利用している商品の公式サイトや契約書類で、具体的な返済方法を確認してから手続きをおこないましょう。
繰り上げ返済そのものに手数料がかからない場合でも、利用するATMや振込方法によって手数料が発生することがあります。
例えばみずほ銀行では、ATMから任意返済をおこなう場合、利用するATMや取引内容によって所定の手数料がかかる場合があると案内されています。
少額を何度も繰り上げ返済する場合は、手数料の有無によってメリットが小さくなることもあります。
「追加返済だから無料」と決めつけず、利用する返済方法を確認しましょう。
繰り上げ返済をすれば、その月の約定返済が必ず不要になるわけではありません。
ここはカードローンの返済で特に注意したいポイントです。
例えば、みずほ銀行では任意返済を行った場合も、毎月10日に約定返済額が自動で引き落とされます。
一方、三井住友銀行では、約定返済日前に一定の条件で返済すると、次回の約定返済期日が繰り越される仕組みがあります。
このように、追加返済をした場合の約定返済の扱いは金融機関によって異なります。
「10万円を追加で返済したから、次の引き落としはない」と自己判断せず、利用しているカードローンの公式情報を確認しておきましょう。
カードローンの繰り上げ返済は、元金を早く減らすことで将来の利息負担を抑えたり、完済までの期間を短縮したりする効果が期待できます。
一方で、繰り上げ返済をするために生活費や緊急時の資金まで使ってしまう必要はありません。
繰り上げ返済をするか判断するときは、単純に「いくら返済できるか」ではなく、生活費や今後必要になる資金を確保したうえで残る余裕資金かどうかを確認することが大切です。
特に、近い将来に教育費や車検、引っ越しなどのまとまった支出を予定している場合や、収入が不安定な場合は、手元資金を優先したほうがよいケースもあります。
反対に、生活費や今後の支出に必要なお金を確保したうえで余裕がある場合は、ボーナスや臨時収入の一部を使ったり、毎月少額ずつ追加返済したりする方法を検討できます。
また、毎月の返済そのものが負担になっている場合は、繰り上げ返済だけで解決しようとせず、現在の返済計画を見直すことも重要です。現在よりも低い金利のカードローンへの借り換えによって、利息負担を軽減できる可能性もあります。
カードローンの繰り上げ返済では、「早く返すほど得」という一点だけで判断せず、返済後の家計まで含めて無理のない方法を選びましょう。
※本記事は、2026年9月11日時点の情報をもとに執筆しています。

首都大学東京(現:東京都立大学)法学部卒業。バイヤー、貿易事務、コンサルと幅広い業界を経験。前職ではカスタマーサクセスとして、お客さまのお困りごと解決に従事していた。
子育てで退職後も「人のお困りごとをサポートしたい」気持ちからFP2級を取得。
同時にWebライターとして独立し、FPとしての知識を世の中に役立てる記事を執筆しながら”お悩みにとことん向き合うFP”を信条に活躍中。

2021年1月よりWebライターとして独立。大手生命保険会社の勤務経験や子育て経験などを生かしながら、おもにSEO記事の執筆活動を行う。金融ジャンルの記事執筆に携わるなかで出会ったFPに魅力を感じ、AFPまで取得。現在は独立系FPとして執筆業務をはじめ幅広く活動中。得意ジャンルは金融、保険、住宅、子育て。オンライン学習コミュニティにて、Webライティング講座のメンターも経験。プライベートでは4児の母。
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