第 11 回
数字で見るクレジット・消費者金融業界
就職活動を始める学生の皆さんに人気の金融業界ですが、その中でクレジット・消費者金融業界というのはどのような業界なのでしょうか?
この記事では、インターネット上で得られる数字を元に、様々な角度から見てみようと思います。
市場規模
金融業界には、銀行・保険・証券という巨大産業があり、日本の市場規模は約60兆円です。
日本貸金業協会の月次統計資料
日本貸金業協会では、各種統計資料を公表しています。
これを参照すると、2023年1月には月間で合計約6億の営業貸付が行われています。また貸付残高は年々増加しており、2023年1月に入って12兆円を超えています。
近年では苦情や相談件数が増加していないことから、過去に存在した法外な利息や悪質な取り立ては改善されたと思われます。
金融庁の貸金業関係資料
金融庁でも、HPの金融機関情報の中で、貸金業関連のデータを公表しています。
貸金業者数は平成11年の3万0,290をピークに徐々に減少し、令和3年3月では1,638となっています。
これは平成中期以降に関連する法律が改正され、上限金利が下がった事と総量規制が適用された影響でしょう。
また、業態別の貸付残高が年度ごとに公表されています。
近年では、クレジットカード会社やリース会社が貸付残高を増やしています。全体の貸付残高は平成28年までは減少傾向でしたが、29年よりまた上昇傾向になっております。
出典:金融庁「貸金業関係資料集の掲載について」
一般社団法人 日本クレジット協会
日本クレジット協会とは、クレジット産業の健全な発展を目指す団体です。
この協会の統計資料によると、2022年12月末のクレジットカード契約数は2億7,973万枚です。成人人口比では1人当たり平均2枚~3を保有していることになります。
クレジットカードが日常生活に根付いている証拠でしょう。
しかし、便利さの裏側に犯罪被害があることも事実です。
2022年の集計で、不正利用被害額は436.7億円でした。
年間の被害額は2000年の308.7億円をピークに減少傾向で100億円台で推移していましたが、2014年から上昇傾向になり、現在は4倍もの被害額になっています。
ですので、これからはクレジットカードをより注意深く扱うことが大切です。
事実は自分の目で確かめる
以上、クレジット・消費者金融に関連する数字を様々な情報源から見てみました。
数字や統計資料は、見る立場や集計方法によって違った印象があるので、普段目にするイメージとは違う点もあります。
多くの人が利用していることは事実なので、できる限り様々な資料に触れ、実情を把握することをお勧めします。
執筆日2023年4月12日
監修日2023年4月24日
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。
大学在学時よりFPを志し、外資系損害保険会社、eラーニング専門企業に勤務。卒業後、税理士法人勤務を経て、外資系生命保険会社出身の専務とともにFP事務所を開業。2018年4月に法人化し、FPサテライト株式会社を設立、代表取締役に就任する。
現在は、相談業務、Webメディアの執筆、セミナー講師等、幅広く活動を行なっている。また、税理士法人勤務の経験から、中小企業向けの経理業務支援なども行っている。
金融商品を取り扱わず、お客様の立場に立った中立な相談、幅広い分野からの問題解決をモットーとしている。