第 196 回
中小企業の資金繰りを支援!「クラウドファクタリング」のメリット・デメリット
未回収の売掛債権を売却して現金化する「ファクタリング」は、企業の資金調達方法のひとつとして活用されています。
近年、そのファクタリングの手続きをすべてインターネット上で完結できる「クラウドファクタリング」サービスが普及し、中小企業や個人事業主がより手軽に利用できるようになりました。
今回は、「クラウドファクタリング」サービスの特徴と、メリット・デメリットについて解説します。
ファクタリングの仕組み
ファクタリングは、自社(利用者)が保有する売掛債権をファクタリング事業者に売却し、現金化する仕組みです。
自社と取引先会社との間に、ファクタリング事業者が入ることで売掛金の回収期日を早め、万が一取引先が倒産した場合の貸し倒れリスクを回避できます。
クラウドファクタリングとは?
クラウドファクタリングでは、申込みから売掛債権の現金化までをインターネット上で完結できます。
従来のファクタリングでは、ファクタリング事業者との面談を行うため利用者側の地域が限定されていましたが、クラウドファクタリングでは24時間全国対応が可能となります。
融資による資金調達が、審査や時間的問題で非現実的な場合の有効策としても活用できます。
クラウドファクタリングの具体的なメリットとは?
では、クラウドファクタリングのメリットを具体的に紹介します。
資金調達方法の選択肢が増える
前述のように、クラウドファクタリングの大きなメリットはインターネット上で完結することです。
これにより、面談審査が必要で利用者側の地域が限定されていたものが、全国どこからでもファクタリングの申込みが行えるようになり、資金調達方法の選択肢が増えました。
AI審査でスピーディーな判断を行える
クラウドファクタリングはAIによる審査を行っています。
審査は取引先の信用情報確認が主となり、売掛債権が有効であることがとても重要です。
AI審査により取引先の信用情報に問題がないと判断されれば、最短で即日売掛債権の現金化も可能です。
AI審査により手数料が削減できる
AI審査により事業者側の人件費が削減されるため、利用者の手数料も安く抑えられます。
従来のファクタリングでは10%~20%ほどの手数料がかかりましたが、クラウドファクタリングでは最大でも10%程度と手数料が抑えられています。
クラウドファクタリングのデメリットとは?
メリットの多い反面、クラウドファクタリングはどのようなデメリットがあるのでしょうか?
臨機応変な審査ができない
AIによるファクタリング審査では、取引先の信用情報が重要視され、万が一取引先が危ないと判断されたときは即刻AIに弾かれ審査に通過しません。
人間による審査では個々の状況に応じた審査が行われますが、効率化されたAI審査では臨機応変な審査は期待できないと言えるでしょう。
インターネットでの手続き
クラウドファクタリングはクラウドという名の通り、web上での手続きが必要になります。そのため、パソコンの扱いが慣れていない方は、オフラインの手続きよりもかえって時間がかかる可能性があります。
まとめ
クラウドファクタリングは審査も早く、低い手数料で売掛債権の現金化ができますので、中小企業や個人事業主の資金調達方法として有効に活用できます。
資金繰りの不安解決策としてクラウドファクタリングを上手に活用し、事業活動の健全化に役立ててみてはいかがでしょうか。
執筆日2023年4月27日
監修日2023年5月14日
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。
大学卒業後、数年フリーターを経験。その後IT企業へ就職し、システム運用業務に従事。IT企業への就職と同時に始めた一人暮らしで、思い通りに貯蓄が増やせないことに悩んでいた時にFPについて知る。
その後、自身の保険相談や資産運用の相談を通じて、FPの持つ可能性と奥深さに興味を持ち2級FP技能士を取得する。2019年5月AFP認定。現在はIT企業に勤務する傍ら、どんな状況でもお金に振り回されない人生を歩むためのガイド役となるべく活動している。