第 115 回
債務整理をした後に結婚して苗字が変わるとどうなる?信用情報と旧姓の関係とは
債務整理を行うと、一定期間信用情報機関に情報が登録されます。
では、結婚などにより姓が変わった場合、旧姓での債務整理の情報はどうなるのでしょうか?
信用情報は姓が変わると確認困難に
信用情報はその時点での氏名で登録、情報更新されるため、本人から改姓の申告がなければ別人として扱われます。
そのため、消費者金融業者やクレジットカード会社でも旧姓が確認できる個人情報の提供がなければ、旧姓での債務情報の特定は困難となります。
結果、過去に債務整理を行った人であってもローンやクレジットカードの審査に通過してしまう可能性があります。
そのような事態を避けるため、各金融機関はローンやクレジットカードの申込書に申込者の旧姓欄を設けたり、運転免許証などの本人確認書類の提示を求めたりして旧姓情報を把握しようとしています。
金融機関に旧姓を申し出なかった場合はどうなる?
では、金融機関に対して故意に旧姓を申し出なかった場合は、どうなるのでしょうか?
結婚などで姓が変わると、基本的に改姓後の姓で新しい人物として登録される事になり、信用情報が「無情報」となります。
しかし、この信用情報がなにもない「無情報」こそが金融機関にしてみると、逆におかしい・怪しいという判断となり、さらに詳しく調査しようとします。
金融機関の調査によって改姓したことが判明すると、申込者は「旧姓を申し出ず申告を偽った」と見做され、金融機関からの信用を失うことになります。
結果として、その金融機関が扱うローンやクレジットカードの審査に今後一切通らなくなってしまう可能性も十分にあります。
結婚して姓が変わったときは正直に申請しましょう。
債務整理後の結婚でローンは組める?
結婚後は、住宅ローン・自動車ローン・教育ローンなど、色々なローンを組む機会がありますが、過去の債務整理により将来ローンを組むことができるのかは、心配になりますよね。
債務整理を行った情報は、債務整理の内容によって5年~7年の間信用情報機関に登録され、
この期間中はローンやクレジットカードの審査に通ることが難しくなります。
しかし夫婦の場合であれば、債務整理を行っていない人が名義人になることでローンを組むことが可能になります。
隠さず、正直に申告するのが吉
苗字が変わると心理的に債務整理の過去を隠そうとしてしまいがちですが、虚偽の申告は金融機関の心象を悪くしてしまうことは言うまでもありません。
信用情報はあくまでも審査の基準のひとつです。事故情報があってもローンやクレジットカード審査に通る可能性もありますので、正直に過去の債務整理の事実を申告しましょう。
執筆日2023年4月19日
監修日2023年5月12日
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。
大学在学時よりFPを志し、外資系損害保険会社、eラーニング専門企業に勤務。卒業後、税理士法人勤務を経て、外資系生命保険会社出身の専務とともにFP事務所を開業。2018年4月に法人化し、FPサテライト株式会社を設立、代表取締役に就任する。
現在は、相談業務、Webメディアの執筆、セミナー講師等、幅広く活動を行なっている。また、税理士法人勤務の経験から、中小企業向けの経理業務支援なども行っている。
金融商品を取り扱わず、お客様の立場に立った中立な相談、幅広い分野からの問題解決をモットーとしている。