第 70 回
事業の資金調達、「ビジネスローン」「不動産担保ビジネスローン」どっちが良い?
事業資金の調達をする場合には、銀行からの融資の他、ビジネスローンや不動産担保ビジネスローン等、複数の方法を検討されると思います。
借入方法は複数ありますが、今回は「ビジネスローン」と「不動産担保ビジネスローン」の2つに絞り、その違いについて解説します。
今回は「ビジネスローン」と「不動産担保ビジネスローン」の違いについて解説します。
ビジネスローンとは?
事業性資金に利用できる法人・個人事業主向けの無担保ローンのことを言います。
借入用途は事業性資金であれば自由です。基本的には無担保、第三者保証人なしで事業資金を借りることができるローンで、主に貸金業者で取り扱っています。
不動産担保ビジネスローンとは?
事業性資金に利用できる不動産を担保にした有担保ローンのことを言います。借入用途は運転資金・設備資金・つなぎ資金等多岐に渡ります。
銀行でも取り扱っていますが、おもに事業性資金の融資を行っている貸金業者や不動産担保ローン専門会社で扱っています。
ビジネスローンと不動産担保ビジネスローンの違い
それぞれの名称は似ていますが、内容は違うものであることが上記をご覧いただいてわかるかと思います。ここからは、より具体的に双方の違いを見ていきましょう。
金利の違い
無担保であるビジネスローンの方が適用金利が高い傾向にあります。無担保ローンの場合は、返済が滞り貸出先が倒産した際に借入れ資金を回収できない可能性が高いためです。
一方、不動産担保ビジネスローンでは、返済が滞り貸出先が倒産した場合でも、金融機関が担保を売却することで融資したお金を全額、もしくは一部を回収します。
そのため、不動産担保ビジネスローンの方が金利を低く設定することが可能になるのです。
最大融資限度額の違い
ビジネスローンの借入れ限度額は、基本的には数百万円~数千万万円程度となります。
不動産担保ビジネスローンは不動産の担保価値によっては、借入限度額が数億円以上まで引き上げられることもあります。
返済期間の違い
ビジネスローンの返済期間は、基本的に1~10年程度に設定されています。
一方、不動産担保ビジネスローンは不動産を担保にしているため借入期間の設定の幅も広く、30年という長期の返済期間を設定することも可能です。
融資スピードの違い
ビジネスローンは、早ければ最短即日融資が可能です。
一方、不動産担保ビジネスローンは最短で即日融資ができる場合もありますが、基本的には担保価値を評価する必要があるため、融資までに1週間~1ヵ月程度かかります。
審査の違い
ビジネスローンは無担保で貸し倒れリスクが大きいため、事業歴や決算状況、キャッシュフローの金額等いろいろな観点から厳しく審査されます。
不動産担保ビジネスローンは担保価値がしっかりしていれば、ビジネスローンに比べ全体的な審査は緩くなる傾向にあります。
諸経費の違い
借入れ時の諸経費はビジネスローンでは発生しませんが、不動産担保ビジネスローンは担保評価にかかる人件費や、登記変更をする費用が必要となる場合があります。
ローンだけでもさまざまな選択肢がある
今回はビジネスローンと不動産担保ビジネスローンの2つのローンを比較しました。担保に入れる不動産がそもそもないという方もいらっしゃるかもしれませんが、持っている方は不動産担保ビジネスローンの活用で低金利で融資を受けることができるかもしれません。
他にも世の中にはたくさんのローンが存在しており、現状の資産などを上手く活用することで、より条件の良い融資を受けられる可能性がありますので、ぜひ色々な融資先を調べてみてください。
執筆日2023年4月17日
監修日2023年5月13日
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。
大学在学時よりFPを志し、外資系損害保険会社、eラーニング専門企業に勤務。卒業後、税理士法人勤務を経て、外資系生命保険会社出身の専務とともにFP事務所を開業。2018年4月に法人化し、FPサテライト株式会社を設立、代表取締役に就任する。
現在は、相談業務、Webメディアの執筆、セミナー講師等、幅広く活動を行なっている。また、税理士法人勤務の経験から、中小企業向けの経理業務支援なども行っている。
金融商品を取り扱わず、お客様の立場に立った中立な相談、幅広い分野からの問題解決をモットーとしている。