第 168 回
クレジットカード現金化は犯罪!ペナルティや該当する可能性のある刑事罰
街中の看板広告や、インターネットサイト広告などで見かける「クレジットカード現金化」。実は、正当な借入れ方法ではなく犯罪になった事例が多くあります。
今回はクレジットカードを現金化する仕組みと、実際に行った場合どんな刑罰にあたるのか、について解説します。
クレジットカード現金化の仕組み
クレジットカードで現金を手に入れる方法のひとつとして、「クレジットカードのショッピング枠を現金化する」という手法があります。
クレジットカードには、現金を借りることができる「キャッシング」枠と、買い物に利用できる「ショッピング枠」があります。このショッピング枠を利用して商品を購入させ、その商品を買い取るという名目で利用者に現金を渡すのが主な現金化の仕組みです。
クレジットカード現金化業者は、回収のリスクはクレジットカード会社に負わせ、手数料で儲ける仕組みになっています。
現金化の手段
現金化は、おもに下記の手段で行います。
現金化業者に依頼
クレジットカード現金化をサービスに掲げる業者に、「キャッシュバック方式」「商品買取方式」のどちらかを選んで、現金化を依頼します。
換金率や手数料は業者によって異なるようですが、両方合わせてもショッピング枠の決済金額よりかなり低い金額になります。
セルフ現金化
自分で行う現金化のことを指します。現金化業者を通さずに、自分でクレジットカードのショッピング枠を使用して商品売買を行い、現金を得る方法です。換金率の高いギフトカードや新幹線の回数券など、対象商品は様々です。
どんな刑罰にあたるのか
クレジットカード会社は、換金を目的とするクレジットカードの利用を認めていません。このことは、クレジットカード会員規約に記載されています。
また刑法上、以下の罪に当たる可能性があります。
横領罪・詐欺罪
どちらも刑法で定められた犯罪行為です。
横領罪
クレジットカードで購入した商品は、代金が完済されるまでクレジット会社に所有権があります。これを転売することは「横領罪」に該当する可能性があります。
詐欺罪
現金化のためにクレジットカードで商品を購入する行為は、クレジットカード会社からお金を詐取する行為として、「詐欺罪」に該当する可能性があります。
カード利用規約違反
換金を目的とするクレジットカードの利用をした場合、規約違反として
- 残金の一括請求
- カードの利用停止
- カードの強制退会
等のペナルティを受けることもあります。
「知りませんでした」は通用しない
クレジットカードの現金化は、一時的に現金不足をしのげるだけで、換金率や手数料を考えると法外な金利を払ったことと一緒になります。そして、結局は自分の債務を増やすことになります。
また、カード会社に知られた場合カードの強制解約や、残金一括返済などを求められるだけでなく、犯罪に問われる可能性もあります。
さらには、業者に提供したカード番号や個人情報が悪用されてしまう可能性もあるので、現金化は絶対にやめましょう!
執筆日2023年5月1日
監修日2023年5月14日
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。
大学卒業後、数年フリーターを経験。その後IT企業へ就職し、システム運用業務に従事。IT企業への就職と同時に始めた一人暮らしで、思い通りに貯蓄が増やせないことに悩んでいた時にFPについて知る。
その後、自身の保険相談や資産運用の相談を通じて、FPの持つ可能性と奥深さに興味を持ち2級FP技能士を取得する。2019年5月AFP認定。現在はIT企業に勤務する傍ら、どんな状況でもお金に振り回されない人生を歩むためのガイド役となるべく活動している。