第 183 回
信用で借りて計画的に返済するのは同じ?融資と借金の違いを解説
銀行のカードローンや消費者金融では「融資」という言葉を使っています。一方、犯罪のニュースなどでは「容疑者はギャンブルで消費者金融などに借金があり〜」と「借金」という言葉を使っています。
融資と借金にはどのような違いがあるのでしょうか?
言葉を使う立場の違い
融資とは「資金を融通すること」をいいます。一方、借金は「お金を借りること」を指します。
貸す方が使えば「融資」、借りる側が使えば「借金」ということでしょう。
目的の違い
融資を受ける目的は、主に会社設立や設備投資など事業に使う資金のためです。事業は利益を生むことが目的となるので、融資は「お金を作ること」が目的と言えます。
借金は「消費のために借りるお金」であり、欲しいものやサービスの購入資金としてお金を借りる行為です。
銀行のカードローンや消費者金融では「融資」という言葉を使いますが、目的から考えると「借金」という言葉に近いでしょう。
融資までの時間と審査の違い
日本政策金融公庫に融資を申し込む場合、手続きがスムーズに進めば1週間〜10日くらいで結果が出ることもあります。一般的には申し込みから融資を受けるまで、1ヶ月〜1ヶ月半はかかることになるでしょう。
日本政策金融公庫の審査では、個人の信用情報に問題がないことに加えて、面談で具体的な事業計画や売上の根拠を説明する必要があります。そのために、必要になる書類の種類も多く、準備にも時間がかかります。
消費者金融では、最短30分〜1時間で審査の結果が出ます。銀行のカードローンでは翌営業日〜1週間程度で借入を行うことが可能でしょう。消費者金融では最短で、その日のうちに審査から借入まで完了することも可能な場合があります。
銀行のカードローンや消費者金融では、申し込みに必要な書類は身分証明書だけで済むことが多いです。大きな金額を希望するのであれば、収入証明書が必要な場合もあります。
借入額と金利の違い
日本政策金融公庫から融資を受ける際の借入額は、使い道によって異なりますが、4,800万円か7,200万円です。基準金利は担保を不要とする融資の場合の基準金利は1.97〜3.00%、担保を提供する融資の場合の基準金利は1.02〜2.65%です(令和5年5月1日時点)。
大手消費者金融の実質金利は3.0〜18.0%の間で設定されている場合が多いです。借入限度額の多くは500〜800万円となっていますが、初回から限度額を借入することは信頼がないため難しいでしょう。
「信用」と「計画性」が大切
以上、融資と借金の違いについて解説しました。「融資」も「借金」もお金を借りることに違いはないので、どちらも「信用」と「きちんと返済できる計画性」が必要になることは同じと言えます。
お金が必要な状況は人それぞれかと思いますが、2つの違いを理解して有効活用できるようにしましょう。
執筆日2023年5月1日
監修日2023年5月10日
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。
大学在学時よりFPを志し、外資系損害保険会社、eラーニング専門企業に勤務。卒業後、税理士法人勤務を経て、外資系生命保険会社出身の専務とともにFP事務所を開業。2018年4月に法人化し、FPサテライト株式会社を設立、代表取締役に就任する。
現在は、相談業務、Webメディアの執筆、セミナー講師等、幅広く活動を行なっている。また、税理士法人勤務の経験から、中小企業向けの経理業務支援なども行っている。
金融商品を取り扱わず、お客様の立場に立った中立な相談、幅広い分野からの問題解決をモットーとしている。