第 126 回
督促状がきた!架空請求業者か正規のサービサー(債権回収会社)かを見分けるには
債権回収会社と名乗るところから督促状が届いたり電話が来たりすると、慌てたり不審に思うかも知れませんが、債権回収を行う「サービサー」と呼ばれる法人が存在します。
しかし、架空請求業者の場合もあり得るので注意が必要です。
サービサーとは?
サービサー(債権回収会社)とは債権の管理と回収を行う、法務大臣の認可を受けた法人です。金融機関等から回収ができなくなったローンなどの債権を買い取り、債務者に対して支払いの督促を行います。
サービサーは大手金融機関の子会社や関連会社であることが多く、不良債権を解決したい金融機関にとっては不可欠な存在と言ってもいいでしょう。
サービサー誕生の背景
本来、債権の管理・回収・処理などの業務は弁護士の独占業務とされています。しかし、平成初期にバブル崩壊で日本中に不良債権が溢れてしまい、弁護士だけでは処理しきれない事態が発生しました。
この時期に隙をついて世の中に現れたのが、違法業者や暴力団による「整理屋」と呼ばれる債権回収業者でした。
そのため、不良債権処理に暴力団などの反社会的勢力の参入を排除する目的で、サービサー特措法と債権回収会社が成立しました。警視庁組織犯罪対策部の「令和4年における組織犯罪の情勢」によると、ここ数年は暴力団等による債権回収介入の検挙数はほとんどなくなっています。
出典:警視庁組織犯罪対策部「令和4年における 組織犯罪の情勢」
架空請求業者の存在
法務省が注意を呼びかけているのが、サービサーと類似の名前を騙る業者による「架空請求」です。サービサーと同様に「債権譲渡を受けたので回収を行う」という旨の通知を行います。
身に覚えがなくても不安に思って連絡してしまうと、悪徳業者に個人情報を与えることになってしまいます。
サービサーと架空請求業者の見分け方
正規のサービサーは債権譲渡通知書を送付してから、通常の督促状や電話で支払いを求めてきます。これに応じなければ内容証明郵便を送付し、指定日までに支払いがなければ法的手段の準備に入る旨の記載があります。さらに段階が進み法的手続きの段階に移行すると、異議申し立ておよび裁判へと進みます。
正規のサービサーはメールやSNSなどで連絡を行うことはないので、メールなどで連絡をしてきた場合は架空請求業者であると疑って良いでしょう。
「債権譲渡を受けたので、支払いに応じなければ強制執行に移行します」など、段階を飛ばして通知する内容であれば、より架空請求業者の可能性が高いと考えられます。
通常の債権譲渡通知書には、支払い方法と連絡先が記載されます。ここで何も確認せずに連絡することは避けた方が良いです。担当者の連絡先と称して携帯電話だけが記載されていたり、振込指定口座の名義人が個人名であったりということであれば、正規のサービサーではないでしょう。
法務省のウェブサイトで正しい情報を確認するか、弁護士や司法書士に相談するのが賢明です。
まずは、焦らずに架空請求会社なのかを確認しましょう
正規のサービサーから連絡があっても、会社名は依頼元の金融機関と関連性が薄いので不審に思うかも知れません。
しかしそのまま無視してしまうと、最悪の場合は裁判や差し押さえに至ります。慌てずに架空請求会社なのかどうかをまず確認し、その結果によって次にどう行動すべきかを判断しましょう。
執筆日2023年4月19日
監修日2023年5月12日
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。
大学在学時よりFPを志し、外資系損害保険会社、eラーニング専門企業に勤務。卒業後、税理士法人勤務を経て、外資系生命保険会社出身の専務とともにFP事務所を開業。2018年4月に法人化し、FPサテライト株式会社を設立、代表取締役に就任する。
現在は、相談業務、Webメディアの執筆、セミナー講師等、幅広く活動を行なっている。また、税理士法人勤務の経験から、中小企業向けの経理業務支援なども行っている。
金融商品を取り扱わず、お客様の立場に立った中立な相談、幅広い分野からの問題解決をモットーとしている。