第 110 回
住宅ローンとして利用できる「プロパーローン」とは?特徴やメリット、注意点まとめ
マイホームを購入する際、ローンの選択肢として住宅ローンの他に「プロパーローン」というローンがあります。
一般的な住宅ローンは、金融機関に加えて保証会社でも審査を行い、融資をするかどうかを決定します。債務者の返済が滞った場合、保証会社が金融機関への返済を立て替えます。
それにより、金融機関は確実に債務を回収することができるという仕組みになっています。
一方「プロパーローン」は、保証会社をつけずに金融機関独自でローンの審査・融資を行います。
保証会社をつけない「プロパーローン」の特徴やメリット、注意点を確認してみましょう。
プロパーローンとは?
「プロパーローン」とは、金融機関独自の住宅ローンのことです。
保証会社をつけないプロパーローンでは、債務者の返済が滞った場合のリスクは金融機関が負います。
プロパーローンは住宅ローンとしてだけでなく、不動産投資や事業の融資としても利用することができます。
ローン申込時に行われる審査も、プロパーローンは金融機関独自の基準で行われます。
そのため、一般的な保証つき住宅ローンの審査をクリアできない場合などに利用が検討されます。
プロパーローンを利用するメリット
プロパーローンを利用するメリットには、以下の2つがあります。
保証金が不要
保証会社を利用しないため、保証金は必要ありません。
住宅ローンを利用するときにはさまざまな経費が発生しますので、保証金が必要ないということは費用を抑える面でも大きなメリットとなります。
住宅ローン審査が一度で済む
保証会社をつけないプロパーローンの審査は、金融機関のみが実施します。そのため審査回数が一度で済み、結果が出るまでの期間も短くなります。
また、保証会社を通す住宅ローン審査よりも通りやすいといわれています。
プロパーローンを利用した場合のデメリット
反面、プロパーローンには以下2つのデメリットがあります。
金利が高い
一般的な保証つきの住宅ローンと比べてリスクが高いため、プロパーローンの金利は高めに設定されている場合があります。
連帯保証人が必要
返済が滞った場合のリスクは金融機関が負います。リスクをなるべく低くするため、プロパーローンは連帯保証人が必要となります。
プロパーローンを組むときの注意点
プロパーローンを組む時には、以下の点に注意をする必要があります。
審査基準が統一していない
プロパーローンは金融機関独自の基準で審査されるため、基準は統一されていません。
一般的に保証会社を通す住宅ローン審査よりも通りやすいと言われていますが、金融機関の審査基準とご自身の状況によっては、審査が逆に厳しくなる場合もあります。
必ずしも費用がお得になるとは限らない
一般的な保証つきの住宅ローンよりも、プロパーローンの金利は高めに設定されていますし、手数料も掛かります。
金利と保証料、その他の手数料を加えた合計額で費用負担を比較・検討したほうがよいでしょう。
扱っている金融機関が少ない
一般的な保証つきの住宅ローンよりもリスクが高いため、プロパーローンを取り扱っている金融機関は多くありません。
メリット、デメリットを踏まえた上で
プロパーローンは金利が高めに設定されていますが、金融機関独自の基準で審査されることから審査に通りやすいというメリットがあります。反面、独自の基準ということは、ご自身の状況がその基準に合わない場合に審査内容が厳しくなってしまうというデメリットも含んでいます。
一般的な保証つきの住宅ローンとプロパーローンの両方を、複数の金融機関で比較・検討し、自分に有利な住宅ローンを利用しましょう。
執筆日2023年4月19日
監修日2023年5月14日
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。
大学卒業後、数年フリーターを経験。その後IT企業へ就職し、システム運用業務に従事。IT企業への就職と同時に始めた一人暮らしで、思い通りに貯蓄が増やせないことに悩んでいた時にFPについて知る。
その後、自身の保険相談や資産運用の相談を通じて、FPの持つ可能性と奥深さに興味を持ち2級FP技能士を取得する。2019年5月AFP認定。現在はIT企業に勤務する傍ら、どんな状況でもお金に振り回されない人生を歩むためのガイド役となるべく活動している。