第 125 回
紹介屋の手口とは?闇金業者を紹介する悪質な紹介屋の被害に遭わないために
「低金利」「即日融資」という広告を掲載している消費者金融の中には、「紹介屋」と呼ばれる詐欺まがいの業者が存在する場合があります。
「紹介屋」は自社で融資を行うことはなく、他の業者を斡旋して高額な紹介料を要求する手口を使います。
狙われる人の特徴
紹介屋に狙われるタイプは、多重債務者や延滞などが続いてブラック状態の人です。大手の消費者金融では借り入れができないので、審査に通る可能性が低い人が狙われてしまいます。
手口
まず紹介屋は「いい業者を紹介しますよ」と最初から言うわけではありません。自らは貸金業者を名乗っており、まずは審査を行ったように装います。その結果「残念ながら弊社では融資できませんが、系列の業者を紹介します」などと誘い、他の業者で融資が通れば、その借入額の一部を紹介料として受け取ります。
悪質な場合は、闇金業者に紹介して高額な紹介料を手に入れます。また、結託した弁護士や司法書士に紹介して、債務整理をさせる手口もあります。この場合は、弁護士事務所から紹介屋に紹介料が支払われます。
違法性
融資してくれる会社を斡旋すること自体は違法ではありません。ただし、斡旋を行うには貸金業者として登録している必要があります。無認可で斡旋を行っていれば違法な業者です。
また、貸借額の5%を超える高額な手数料を要求することは出資法第4条に違反します。紹介屋の多くは手数料を20〜50%としているので、この場合は完全に違法です。
さらに、自らは融資をせずに紹介だけを行う業務形態は、貸付利率や条件を偽ることを禁止した貸金業法第16条(誇大広告の禁止)に違反している可能性があります。
おまけに、弁護士や司法書士が紹介料を支払う行為は弁護士法や司法書士法に違反します。すなわち、紹介屋と結託している弁護士・司法書士も違法行為を行っている可能性があるということです。
被害に遭わないために
正規の登録業者が紹介屋として営業しているケースももちろんあります。
貸金業者として登録しているので違法ではなく、紹介料が5%以下であれば斡旋自体に問題はありません。
ただし、「手数料(紹介料)の件は、紹介先の金融業者の審査時に絶対に話さないでください」などと説明された場合、実態は紹介屋である可能性が高いと言えるでしょう。
紹介屋の被害に遭わないためには、まず不自然な融資条件を疑うことが第一です。
また、他の金融業者を紹介してきた時点で怪しいと考えて利用しないことです。「一度検討する」と理由をつけてその場を離れるのが得策です。
他の金融業者を利用するのであれば、申し込みは自分自身で行うことをお勧めします。
人に頼るということはリスクが伴う
紹介屋の手口は完全に違法と断定し難い場合もあります。また、多重債務者からすると融資さえ受けられれば、その場の問題は解決できてしまいます。そのため、自分が犯罪の被害者であるという自覚があまりなく、立件や逮捕に繋がらないという現実があります。
被害に遭わないためにも、困っているときに都合の良い条件で融資を持ちかけてくる金融業者は、紹介屋ではないか疑ってみた方が良いかも知れません。
執筆日2023年4月19日
監修日2023年5月12日
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。
大学在学時よりFPを志し、外資系損害保険会社、eラーニング専門企業に勤務。卒業後、税理士法人勤務を経て、外資系生命保険会社出身の専務とともにFP事務所を開業。2018年4月に法人化し、FPサテライト株式会社を設立、代表取締役に就任する。
現在は、相談業務、Webメディアの執筆、セミナー講師等、幅広く活動を行なっている。また、税理士法人勤務の経験から、中小企業向けの経理業務支援なども行っている。
金融商品を取り扱わず、お客様の立場に立った中立な相談、幅広い分野からの問題解決をモットーとしている。