第 129 回
生命保険でお金を借りられる?契約者貸付制度の仕組みとメリット・注意点
まとまったお金が急に必要になった時、加入している生命保険(終身保険など)を解約して受け取る解約返戻金を充てることができます。しかし、解約をするためその時点で保障ももちろん無くなってしまいます。
また、解約のタイミングによっては解約返戻率が低く、思ったよりお金が戻ってこないケースもあります。
そんな時、代わりに利用できるのが「契約者貸付制度」です。
今回は「契約者貸付制度」の仕組みと、メリット・注意点について解説します。
契約者貸付制度の仕組み
解約者貸付制度とは、契約している生命保険の解約返戻金の一定範囲内で貸し付けを受けることができる制度です。一般的に、契約者貸付を受けている間も保障は変わりなく継続し、配当金を受け取る権利も継続します。
掛け捨ての保険やがん保険など、保険の種類によっては利用できない場合があります。
借入手続きと返済について
借り入れの手続きには所定の書類の提出が必要です。生命保険会社によっては、自社や提携先のATM・キャッシュディスペンサー(CD)から生命保険会社が発行するカードを使って、借り入れすることも可能です。
一般的に貸付金は、その全部または一部をいつでも返済できます。
返済方法には、生命保険会社の窓口への持参、返済案内に同封されている振込用紙を使用した振り込み、ATM・キャッシュディスペンサーからの振込みなどがあります。
契約者貸付制度のメリット
契約者貸付制度を利用した際のメリットとして、以下が挙げられます。
保険を解約する必要がない
加入している保険は解約する必要がなく、制度利用中も保障内容は変わりません。
カードローンと比べて金利が低い
保険会社や保険商品によって変わりますが、概ね1~6%の間くらいで設定されていることが多いです。
返済の自由度が高い
カードローンなどと違い一定額を毎月返済することが定められていないため、保険契約の期間が終わるまでの間で、契約者の任意のタイミングで返済が可能です。
契約者貸付制度の注意点
反対に、以下のような注意点があります。
いざという時に受け取る満期保険金や死亡保険金が少なくなる恐れがある
未返済のまま満期を迎えたり被保険者が死亡したりした時は、それぞれの満期保険金・死亡保険金から、契約者貸付制度で借りた元本とそれまでの利息が差し引かれます。
元利合計金額が解約返戻金を超えると、保険金が失効する可能性がある
借りた元本とそれまでの利息を合計した金額が、保険を解約したときに払い戻される「解約返戻金」の金額を超えてしまうと、保険金が失効または解除される可能性があります。
返済期間の設定がないため、利息が膨らむ可能性がある
これは、メリットの裏返しになりますが、毎月返済などが決められていないため、自分で返済計画をしっかり決める必要があります。もし、まだ返済しなくても良いかと思って、後まわしにしていると元金が減らず、利息が大きく膨れ上がる可能性があります。
急にお金が必要になった時の1つの選択肢として
保険に加入していて、急なお金が必要になった方は、「契約者貸付制度」を一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか?
今後、検討される際には、この記事でご紹介したメリットや注意点があることを思い出していただけると嬉しいです。
執筆日2023年4月19日
監修日2023年5月14日
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。
大学卒業後、数年フリーターを経験。その後IT企業へ就職し、システム運用業務に従事。IT企業への就職と同時に始めた一人暮らしで、思い通りに貯蓄が増やせないことに悩んでいた時にFPについて知る。
その後、自身の保険相談や資産運用の相談を通じて、FPの持つ可能性と奥深さに興味を持ち2級FP技能士を取得する。2019年5月AFP認定。現在はIT企業に勤務する傍ら、どんな状況でもお金に振り回されない人生を歩むためのガイド役となるべく活動している。