第 43 回

ローンの連帯保証人になってしまったら?保証人との違いと無効になるケース

坪谷 亮

ローンの連帯保証人になってしまったら?保証人との違いと無効になるケース

福本伸行氏の漫画『賭博黙示録 カイジ』で主人公のカイジ(伊藤開司)は、後輩の保証人となったため多額の負債を抱えてしまい、その後波乱万丈な人生を歩むことになります。
漫画の中だけでなく、連帯保証人になったゆえに不幸になってしまうケースも少なくはありません。
このような事例もあり、世間では「借金の保証人にはなるもんじゃない」と言われますが、連帯保証人になる場合に自衛手段は取れるのでしょうか?

保証人が必要になるケース

まずキャッシングでは基本的に保証人は不要です。用途自由のカードローンも同様です。
キャッシングで保証人が必要になるのは、申込者が未成年や専業主婦の場合や、過去に軽微な滞納があった場合などです。

保証人と連帯保証人は違う

簡潔にまとめると、保証人より連帯保証人の方が責任が重いということです。
重たい理由としては、通常の保証人が持っている以下の3つの権利が連帯保証人には認められていないことが挙げられます。

催告の抗弁権

保証人が債権者に「債務者の代わりに返済してほしい」と請求された時に「先に主債務者に請求してください」と言える権利。
連帯保証人にはこの権利がないので債権者から「あなたに払ってもらいます」と言われた場合は逃れることはできません。

検索の抗弁権

主債務者に返済可能な資力があると証明した上で、請求を拒否する権利。
この権利がないと、以下の例のようになります。

例えば、夫婦間で夫の住宅ローンの連帯保証人に妻がなったとします。
諸事情で離婚したとしても連帯保証人のままです。離婚後に金融機関から請求が来た場合に「元夫にまだ支払えるだけの経済力も財産もあるので先にそちらに請求してください」と主張しても無効です。

分別の利益

保証人が複数いる場合に、保証人全員が分割して債務を負うこと。これが認められない連帯保証人は1人1人が債務の全額を保証しなければなりません。

上記の通り、連帯保証人になると主債務者と同等の返済義務を負うことになります。
さらに、契約の種類が根保証(ねほしょう)契約だった場合は、契約後に発生した債務まで保証責任が発生します。追加で負った債務や完済後の再貸付に対しても、承諾なしに責任を持つことになります。

連帯保証人が無効になるケース

責任重大な連帯保証人ですが、無効にできるケースがあります。

未成年の場合

未成年が法定代理人(保護者など)の許可なく連帯保証人になった場合は契約を取り消すことができます。

勝手に連帯保証人にされた場合

本人の承諾なしにはできません。
債務者から請求が来ても弁護士などに相談して、連帯保証契約の解除ができるよう話をしましょう。1円でも払ってしまうと「追認」といって、契約が事後承諾されたとみなされてしまいます。

詐欺の場合

当初に確認した契約内容と実際の契約内容が異なる場合です。

勘違いの場合

「錯誤」といって重要な部分を勘違いしていた場合。また、その勘違いがなければ契約しなかった場合です。

「知らなかったから払わない」は通用するのか

漫画の中でカイジは、元金の30万だけに対する連帯保証人だと思い込んでしまいます。しかし実際は「月利20%」の複利なので、借金は1年で358万まで増えていました。この時点で既に違法なのですが、解約できる可能性があるとすれば4つ目の「錯誤」です。

貸金業者が『この契約書のここ見てみ』と言っている場面があるので、金利についての説明を明確にしていない可能性があります。「年利20%だと勘違いしていた。月利20%だったら契約しなかった。」と錯誤による契約無効を主張できたかもしれません。

結局、カイジは債務者が集められたギャンブル船「エスポワール」に乗船して、ギャンブルで死闘を繰り広げることになります。

連帯保証人になる可能性が生じた場合には、キッパリとお断りすることをおすすめします。

執筆日2023年4月14日
監修日2023年4月30日

執筆者 坪谷 亮 (つぼや・たすく)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。

監修者 町田 萌 (まちた・もえ)
代表取締役・ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

大学在学時よりFPを志し、外資系損害保険会社、eラーニング専門企業に勤務。卒業後、税理士法人勤務を経て、外資系生命保険会社出身の専務とともにFP事務所を開業。2018年4月に法人化し、FPサテライト株式会社を設立、代表取締役に就任する。
現在は、相談業務、Webメディアの執筆、セミナー講師等、幅広く活動を行なっている。また、税理士法人勤務の経験から、中小企業向けの経理業務支援なども行っている。
金融商品を取り扱わず、お客様の立場に立った中立な相談、幅広い分野からの問題解決をモットーとしている。

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