第 63 回
身近なキャッシング事情、貸金業の現状をデータで解説!
2010年6月、消費者や事業者に貸付けを行う貸金業者への規制などを定めた「貸金業法」という法律が施行されました。
この法律により、「多重債務問題の解決」と「利用者が安心して借り入れが出来る貸金市場の構築」を目指し、環境を整えています。
では、現在のキャッシング事情はどのようになっているでしょうか?
日本人の貸金業者の利用者数は?
2023年3月末現在、20歳以上、約1億462万人*に対して1,040万人が貸金業を利用しています。つまり、約10人に1人が利用している計算になります。1人あたりの平均利用件数は1.5件、利用金額は58.8万円とのデータが公表されています。
想像よりサービスを利用している人が多い、というイメージを持たれるかもしれませんね。
出典:*総務省統計局「人口推計」2023年(令和5年)4月報 2023年4月1日現在 (概算値)よりFPサテライトにて算出
株式会社日本信用情報機構「信用情報に関する統計」(2023年3月末現在)
サービス利用者の割合は?
では、実際に利用している年代層・性別での割合はどうなっているでしょうか。
2022年11月に日本貸金業協会が公表した「資金需要者等の借入意識や借入行動等に関する調査結果」によると、貸付残高がある男女の比率は男性が63.3%、女性が36.7%となっており、男性の割合の方が比率として多くなっています。
また、年代別みると、40~49歳以下の利用者が男性14.2%、女性8.2%と男女ともに一番多く、70歳以上が男性4.0%、女性3.5%と男女ともに一番少ないという結果になっています。
男女の割合は違えど借りたい年齢や借りる必要のない年齢は似た傾向にあることが分かりました。
40代の借り入れが多い理由は、子供の教育費のピークや家購入、親の介護などライフイベントなどが重なることが理由かもしれません。
使用用途は?
おもにどのような用途で借り入れが行われているのでしょうか。
前出の調査結果によると、1位が「趣味・娯楽費」の36.1%、2位が食費で20.4%、3位が「家族のための支出」16.5%となっています。
新型コロナウイルス感染症が収まりつつあり、旅行などに行きやすくなり、「趣味・娯楽費」が上がったのかもしれません。
また、経済が戻りつつある中で、円安や海外の情勢により小麦粉の原材料高騰などの物価上昇が続いていることから、「食費」や「家族のための支出」が2位、3位になっていることが考えられます。
上記の内容は個人の調査ですが、貸金業は事業者にもお金の貸し出しをしています。
事業者向けには、おもに取引先への支払いや銀行への返済が主となっており、事業の資金繰りのサポートを行っている場合が多いようです。
多様な業態・事業形態の貸金業者
現在、全国で約1,500社の貸金業者が、多くの事業形態で資金需要を行っています。
消費者金融をはじめ、クレジットカード・信販会社、証券会社、事業向け貸金業者等、お金を借りられる場所は多くあります。
必要な知識を身に着けた上で、利用者それぞれの目的・金額によって上手な借り入れを心がけたいですね。
出典:金融庁「貸金業関係資料集」のうち「1.貸金業者数の推移等」(2023年3月末現在)
執筆日2023年4月17日
監修日2023年5月15日
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。
大学在学時よりFPを志し、外資系損害保険会社、eラーニング専門企業に勤務。卒業後、税理士法人勤務を経て、外資系生命保険会社出身の専務とともにFP事務所を開業。2018年4月に法人化し、FPサテライト株式会社を設立、代表取締役に就任する。
現在は、相談業務、Webメディアの執筆、セミナー講師等、幅広く活動を行なっている。また、税理士法人勤務の経験から、中小企業向けの経理業務支援なども行っている。
金融商品を取り扱わず、お客様の立場に立った中立な相談、幅広い分野からの問題解決をモットーとしている。