第 190 回
「預金連動型住宅ローン」とは?預金を減らさずマイホームを購入できる!
「預金連動型住宅ローン」とは、住宅ローンの借入額から預金額を差し引いた部分にのみ利息がかかる住宅ローンのことです。
本来、ある程度の預金がある人は住宅ローンを組まずに、もしくは借入額を抑えて住宅購入をするのが有利です。
しかし、一定の条件を満たす場合には、預金連動型住宅ローンを組むとメリットが大きくなる場合があります。
今回は、預金連動型住宅ローンのメリット・デメリットと、どのような人に向いているのかを解説します。
預金連動型住宅ローンのメリットとは?
預金連動型住宅ローンには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
預金を残しながら繰上げ返済と同じ効果を受けられる
預金連動型住宅ローンの最大のメリットは、住宅ローン残高から預金残高を差し引いた部分にしか利息がかからない事です。
例えば、2000万円の預金をしている銀行で3000万円の住宅ローンを組む場合、預金と同額の2000万円部分の金利が0%になり、残り1000万円部分にかかる利息だけを支払う仕組みとなります。
つまり、預金残高部分の金利が0%もしくは0%に限りなく近い水準にまで軽減されるため、自己資金を減らすことなく、その金額分を繰上げ返済したのと同じ効果を得られるのです。
銀行によっては、預金残高に対応する住宅ローン金利と預金金利の差額分をキャッシュバックで還元する商品もあります。
預金の出し入れが自由に行える
一部の商品を除き、預金連動型住宅ローンでは連動させる預金の出し入れが、いつでも自由に行えます。
住宅ローンの利息を少なくしながら、いつでも引き出せるお金を確保できるのは安心ですね。
住宅ローン控除を最大限活用できる
一般的な住宅ローンでは、繰上返済すると住宅ローン残高が減りますので、住宅ローン控除額は減少します。
しかし、預金連動型住宅ローンでは、繰上返済と同じ効果を得ながら住宅ローン残高(預金残高)自体は減らないため、住宅ローン控除を最大限に活用できます。
預金連動型住宅ローンのデメリットとは?
反面、預金連動型住宅ローンには、どのようなデメリットがあるのでしょうか?
預金を差し引いた部分の金利が高くなる
預金連動型住宅ローンは、住宅ローン残高から預金残高を差し引いた部分に利息がかかりますが、差し引いた部分の金利が一般的な住宅ローンに比べて高く設定されています。
さらに、預金連動型住宅ローンの多くが、預金部分については利息がつかなくなるという点もデメリットと言えるでしょう。
預金を減らしたくなくなる
預金連動型住宅ローンでは、預金残高に応じて支払う利息が変わります。
預金が増えている場合は利息が少なくなりますが、預金を引き出さなければならなくなった場合、引き出した金額分利息がかかる部分が増えるため、利息も増えます。
人によっては預金の使い道が、心理的に制限される不便さを感じるかもしれません。
手持ちの資金に余裕がある方におすすめ
預金連動型住宅ローンは預金が多いほど優遇される仕組みです。
住宅ローンの借入予定額に近い金額、もしくはそれ以上の預金があり、資金的に余裕がある方に向いていると言えます。
金融機関によって仕組みや条件が違いますので、複数の金融機関で比較・検討するようにしましょう。
執筆日2023年4月20日
監修日2023年5月8日
自分で保険の見直しを行ったのをきっかけに、お金の知識を身につけることの大切さを実感し、ファイナンシャルプランナーとして活動を始める。
モットーは「自分のお金を他人任せにしない」。ひとりでも多くの人がお金を味方につけて、自分の思い描く人生を歩んでほしいと、マネーリテラシーの重要性を精力的に発信している。
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。