第 128 回
「72の法則」とは?借りたお金がいつ2倍になるかを理解して借入れ計画を立てよう
金融業界でよく使われる「72の法則」。
これは、「お金が2倍になるような年利と年数」を簡易的に求める計算式のことです。
資産運用を行う際によく使われますが、実は借入れをする場合にも活用できる便利な計算式なのです。
今回は「72の法則」と、それを使っての借入れ計画の立て方について解説します。
「72の法則」とは?
お金が2倍になるまでの金利と年数の関係を簡易的に求められる数式です。
2倍になる年数、金利を求める計算式は、それぞれ以下のとおりです。
- お金が2倍になる年数 ≒ 金利÷72
- お金が2倍になる金利 ≒ 年数÷72
※ 72の法則は近似値を簡易的に出すものになります。目安としてご利用ください。
例)金利18.0%の場合に2倍の返済総額になる返済年数は
このように、約4年でお金が2倍になります。元のお金が50万円で4年の間に1円も返済を行わなかった場合には、元金+利息の総額が4年後には100万円になる、ということです。
72の法則の金利は「複利」
利息の付き方には、「単利」と「複利」の2種類が存在します。
単利:元本のみに対して利息がつく計算方法
複利:元本と前回までについた利息の合計額に対して利息がつく計算方法
両者を比べると、単利に比べ複利は計算する元本自体が増えていくので、時間が経過するほど付与される利息が増えていきます。
「72の法則」での金利は、この「複利」になります。
「72の法則」を使って借入れ計画を立ててみよう
カードローンの借入金に対する利息は単利で計算されるため、「72の法則」を使うと正確な支払利息は計算できません。
しかし、借入れ計画を立てる時は「その借入れが将来的にどのくらいの負担になるのか」を知ることが重要なため、「72の法則」は有効な手段となります。
前述の72の法則の計算式で考えると、50万円を借りた4年後には借入れ金額は、2倍の100万円になってしまうのです。
(計算を単純化するために途中返済を行わず、かつ損害遅延金は考慮しない形で計算しています。)
実際に返済する場合は、毎月の返済額から利息を引いた分は元本に充当され、借入れ元本は徐々に減っていきますし、それに伴い利息も減っていきますので計算結果より少ない総返済額になります。
それでも、利息を含めた総返済額は借入額以上になりますので、できるだけ総返済額を抑えるには借りる前の計画が重要となってきます。
72の法則は投資の利回りなどにも有効
「72の法則」を使うと簡易的にですが、自分が借りたお金がいつ2倍になるのかが計算できます。そこから返済が滞りなくできそうかを見積もって、借入金自体を減らしたり、より低金利の貸出先を選んだりと借入れ計画を立てることができます。
この記事では借り入れ時の72の法則の活用方法を説明しましたが、72の法則は複利で投資を行う際にも有効です。例えば、毎年3%で安定した運用ができる場合は「72÷3=14年」で倍の資産を築けるということになります。
72の法則は色々な所に応用できるので、覚えておいて損はないでしょう。
執筆日2023年4月19日
監修日2023年5月14日
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。
大学卒業後、数年フリーターを経験。その後IT企業へ就職し、システム運用業務に従事。IT企業への就職と同時に始めた一人暮らしで、思い通りに貯蓄が増やせないことに悩んでいた時にFPについて知る。
その後、自身の保険相談や資産運用の相談を通じて、FPの持つ可能性と奥深さに興味を持ち2級FP技能士を取得する。2019年5月AFP認定。現在はIT企業に勤務する傍ら、どんな状況でもお金に振り回されない人生を歩むためのガイド役となるべく活動している。