第 175 回

アドオン方式では返済総額に違いがあることも。利息と支払総額の仕組みを知っておこう

坪谷 亮

アドオン方式では返済総額に違いがあることも。利息と支払総額の仕組みを知っておこう

家電や自動車を分割払いで購入する時に、「アドオン方式」という計算方法が利息を設定される場合があります。あまり馴染みがないかもしれませんが、知っておくと支払総額の違いを意識することができます。

アドオン方式とは

アドオン方式とは利息(金利)の表示方式の一つです。計算方法が非常にわかりやすいのがメリットですが、利息が減少しないため、支払総額が多くなるデメリットがあります。当初の元本に対して「上に乗せる(add-on)」形式で利息を計算するので、このように呼ばれます。現在では一部の信販会社などで使われています。

アドオン方式では、支払回数を先に決めて利息を計算します。毎月の支払額は「(元金+利息)÷支払回数」で計算されます。

例えば、120万円の商品を利息10%で購入したケースを仮定します。支払回数を12回と決定した場合、毎月の支払額は「120万円+(120万円×10%)÷12回」=11万円となります。

実質年率方式とは

現在、通常に用いられている利息の表示方式は「実質年率方式」です。実質年率方式で計算する支払方法には、「元金均等払い」や「元利均等払い」などがあります。どちらの支払方法も借入残高が減ると毎月の利息は減少していきます。

支払い総額の違い

先程「アドオン方式では利息が減少しない」と説明しましたが、「毎月1万円づつ減っているのでは?」と疑問に思うかもしれません。その仕組みは以下の計算と説明で理解していただけると思います。

実質年率方式では、借入残高に対して1年分の利息を計算し、毎月の支払額は利息を日割りして元金と合わせて計算します。

例えば上記の例と同じ条件で計算すると、最初の月の利息は

120万円×10%÷365日×30日=約1万円

になります。支払額はアドオン方式と同じ約11万円になり、この内訳は「元金10万円+利息1万円」となっています。

実質年率方式で異なるのは、120万円から返済した11万円を引いた、109万円に対して利息の計算を行う点です。すると2ヶ月目の利息は

109万円×10%÷365日×30日=約9,000円

となり、支払額が同じ11万円でも、内訳は「元本101,000円+利息9,000円」となります。こうして支払額に占める利息の割合が減っていくと、最終的な支払総額に大きな差が出ることになります。

実際にシミュレーションすると、最後の12ヶ月目の支払額は、11万円から大きく減った5万円ほどになります。支払総額は「11万円×11ヶ月+5万円」=約126万円となるので、アドオン方式で計算した132万円とは差があるのがお分かりでしょう。

金利表示の違い

アドオン方式による金利表示と、実質年率方式による金利表示は大きく異なる場合があります。

例えば、3万円をアドオン方式による金利2%で借り入れ、支払回数を3回とします。この場合の支払総額は30,600円となり、毎月の支払額は10,200円です。

同じ条件で、実質年率方式での金利表示がいくらになるのか計算すると、約12%となります。
このため、現在ではアドオン方式による金利表示は法律で禁止され、実質年率方式での金利表示を行うよう求められています。

利息の計算方法は1つではない

現在では実質年率方式での金利表示が行われているので、アドオン方式という仕組みを意識することは稀かもしれません。

しかし違いを知っていると、支払総額の違いを理解することができるので、支払計画を立てるのに役に立つかもしれませんよ。

執筆者 坪谷 亮 (つぼや・たすく)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。

監修者 町田 萌 (まちた・もえ)
代表取締役・ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

大学在学時よりFPを志し、外資系損害保険会社、eラーニング専門企業に勤務。卒業後、税理士法人勤務を経て、外資系生命保険会社出身の専務とともにFP事務所を開業。2018年4月に法人化し、FPサテライト株式会社を設立、代表取締役に就任する。
現在は、相談業務、Webメディアの執筆、セミナー講師等、幅広く活動を行なっている。また、税理士法人勤務の経験から、中小企業向けの経理業務支援なども行っている。
金融商品を取り扱わず、お客様の立場に立った中立な相談、幅広い分野からの問題解決をモットーとしている。

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