第 31 回
サブプライムローンとは?不景気になった経緯や原因についてポイントを解説
「サブプライムローン」という言葉をニュースで聞いたことはあるけど、詳しい内容はよく知らない方も多いのではないでしょうか。
アメリカを中心に株安になって世界中の景気が悪くなった、サブプライムローンの経緯・原因・影響・今後の課題を追ってみます。
サブプライムローンとは?アメリカでブームとなった経緯
まず「サブプライム」という言葉は、信用力が高いと判断される優良客(プライム)と比較して、信用力が低いとされる下位の層(サブプライム)を指します。。
通常は優良顧客しか住宅ローンが組めませんが、サブプライムローンでは返済が滞る可能性が高い人にも金融機関が積極的な貸付を行いました。
当時、アメリカでは不動産の価格が右肩上がりだったため、返済が滞った場合でも住宅を売却すれば問題ないと認識されていました。こうして、低所得者層もローンを組んで住宅を購入し、サブプライムローンは大ブームとなりました。
なぜ不景気の原因に?
サブプライムローンには見えない落とし穴がいくつかありました。下記では、その要因を説明しています。
高金利
通常であれば、高金利だと返済が滞る可能性が高いですが、ローンで購入した住宅を担保にすることで貸し倒れのリスクを防ぎました。
返済できなくなっても、価値が上がった住宅を売却すれば債務を回収できるという理屈です。
初期の少ない返済額
魅力的な商品としてアピールするために、最初は金利を低くすることで返済額を少なく設定しました。この設定だと最初は返済が楽ですが、後から苦しくなります。
金融商品への組み込み
被害がさらに拡大した要因が、証券化によってリスク分散を試みたことです。
サブプライムローン自体にはリスクがあっても、他のリスクの低い金融商品と合わせて販売すればリスクを抑えられるとされました。
世界経済への影響
不動産価格が上昇しないと、当初の目論見通り住宅を売却してもローンが残って自己破産します。
さらに、サブプライムローンを組み込んだ証券を購入した金融機関が損害を被っていきます。その影響は大きく、当時米国証券業界第4位だった「リーマン・ブラザーズ」が破綻しました。
これが「リーマンショック」と呼ばれる所以です。
連鎖的にアメリカの投資銀行や地方銀行が倒産した結果、次にユーロ圏の経済が大打撃を受け、ギリシャ破綻危機などが起きます。
日本はバブル崩壊の教訓があったため、サブプライムローン自体の影響は少なかったのですが、経済的に安全と判断した投機マネーが日本円へと流れ込み、空前の円高となりました。
借入や投資を行う際には、適切な判断を行う
新聞記事でこんな話を読んだことがあります。
『サブプライムローンを組み込んだ金融商品をチャーハンで例えると、一部の具材が痛んでいても一緒に炒めれば大丈夫と判断するようなもの。そして売る側もコンビニで買ってきたこのチャーハンを自宅の皿に盛り付けて提供した。』
投資で利益を得るためには、ある程度のリスクを許容する必要があります。しかし、透明性のない商品や、自分で理解できないリスクを回避することも賢明でしょう。
「無理のない返済計画を」というキャッチフレーズは、キャッシングだけでなく金融リテラシーの向上に欠かせないメッセージなのではないでしょうか。
執筆日2023年4月16日
監修日2023年4月20日
大阪市立大学商学部学士課程修了。学生時代にESG投資の有効性に関する研究を行う。主にESG・サステナビリティ領域の業務に従事、現在は企業のサステナビリティ・ガバナンス構築に向け活動中。地球のサステナビリティには最終的に消費者の力が必要と考え、消費者行動に影響を与えるファイナンシャルプランナーを目指す。
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。