第 162 回
カーシェアリングとマイカー(自家用車)購入、お得なのはどっち?
現在、都内近郊を中心に交通利便性が向上し、車の必要性をあまり感じない方が増えてきているのではないでしょうか。そんな方でも、遠出のお出かけや旅行などは車があると便利ですよね。そこで、一時的に車を借りられるレンタカーやカーシェアリングを利用する方も多くみられます。
一般財団法人 自動車検査登録情報協会「自家用乗用車(登録車と軽自動車)の世帯当たり普及台数」のデータによると、令和4年3月末現在の世帯あたり普及台数は1.032台、全体の保有台数は約6,200万台で、保有台数は昨年より約5万台減少していました。
自家用車を保有するのとカーシェアリングをするのとでは、経済的にどちらがお得なのでしょうか?
マイカーローンを利用して新車を購入した場合
金融機関で取り扱っているマイカーローンの多くは、金利1.25%~3%、借入金額10万~1,000万円、借入期間6ヶ月~10年以内という条件になっています。
金利1.5%の借入期間5年で170万円の借入をして170万円の新車を購入した時、毎月の返済額は2万9,427円、返済総額は176万5,620円です。仮に新車で購入した自家用車を13年使用したとして、マイカーローンの返済総額を使用年数で割ると13万5,817円(約14万)になります。(返済総額176万5,582円÷13年=13万5,817円)
上記に加え、自家用車を維持する費用がかかってきます。
- 税金(自動車税、重量税)
- 保険(自賠責保険、自動車任意保険)
- 車検費用
- 駐車場代
- 燃料代
- その他(点検費用、整備費、消耗品費用)
車種により異なりますが、年間約45万円の維持費が必要になります。
以上より、自家用車を保有した場合、年間支出の平均負担額は下記の通りです。
自家用車を保有せずにカーシェアリングをする場合
カーシェアリングサービスを利用する場合の多くは、下記のような費用がかかります。
- 初期費用0円~2,000円
- 利用料金15分:約200円・6時間:約4,000円・12時間:約6,000円
- 月会費1,000円(利用料金として使用できる場合もあり)
- 走行距離1km:約15円
カーシェアリングの利用料金と自家用車を保有した場合の年間平均負担額(約59万円)が同じくらいの金額になるには、下記のようなケースが想定されます。
(1)毎日の買い物など短い時間で使う
(保有した場合)59万円÷365日=1日当たり約1,600円
(カーシェアリング)200円で15分の基本プランを毎日2時間=1,600円
(2)「昼のママ会」「子供の習い事の送り迎え」などで週に3回程度使う
(保有した場合)59万円÷12ヶ月=1ヶ月当たり約49,000円
(カーシェアリング)4,000円で6時間のパックを毎月12回=48,000円
(3)土日に家族でちょっと遠くまでお出かけに使う
(保有した場合)59万円÷12ヶ月=1月当たり約49,000円
(カーシェアリング)6,000円で12時間のパックを毎月8回=48,000円
(4)年間トータルで約4万km運転する
(保有した場合)59万円
(カーシェアリング)走行距離1kmにつき約15円のプラン=60万円
最後はご自身の価値観で判断する
自家用車の購入とカーシェアリングの利用、どちらがお得になるかは使用する頻度により異なります。また、多少経済的に損であったとしても、使い勝手の良い方を優先する考え方もあります。
ご自身のライフスタイルに合わせて、どちらがいいかよく考えてみましょう。
執筆日2023年4月20日
監修日2023年5月26日
大阪市立大学商学部学士課程修了。学生時代にESG投資の有効性に関する研究を行う。主にESG・サステナビリティ領域の業務に従事、現在は企業のサステナビリティ・ガバナンス構築に向け活動中。地球のサステナビリティには最終的に消費者の力が必要と考え、消費者行動に影響を与えるファイナンシャルプランナーを目指す。
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。