第 102 回

不動産投資でローンは使うべき?不動産投資で必要な資金シミュレーション

三上 諒子

不動産投資でローンは使うべき?不動産投資で必要な資金シミュレーション

不動産投資は、マンションやビル等の不動産を購入して賃貸することで収益を得る投資です。

今回は、その不動産を購入するために必要なお金を借入する不動産投資ローンについてみていきましょう。

不動産投資ローンの条件

不動産投資ローンを提供している企業の条件を概観すると、概ね下記のような条件が多くみられました。

  • 借入可能額:10万円~1,000万円
  • 借入期間:0.5年~10年
  • 変動/固定金利:2.5%~18%
  • なかには、金利1.5%~という企業もありました。

また、より多くの借入をしたい場合は下記のような条件のサービスもあるようです。

  • 借入可能額:300万円~10億円
  • 借入期間:1年~35年
  • 変動/固定金利:3%~15%

金利の種類は固定金利より変動金利の商品が多くみられました。

不動産投資ローンを利用した場合・しなかった場合

それでは、不動産投資ローンは利用した方が良いのでしょうか。
ローンの必要性を検討するにあたり、不動産投資で必要な投資額を見ていきましょう。

不動産投資で必要になる資金

中古マンションを不動産業者から購入する事例

  • 想定購入価格:2,000万円(評価額:土地700万円:建物1,300万円)
  • 諸費用:約150万円(仲介手数料、所有権移転の登記費用、保険料等)

購入額と諸費用を合わせて約2,150万円になります。
現金一括で購入する場合、これだけのまとまった資金を用意しなければなりません。

ローンを利用する場合

不動産投資ローンを利用する場合、上記の購入価格と諸費用の合計2,150万円に加え、住宅ローンの融資手数料や抵当権設定の登記手続き費用などがかかってきます。金額は宅建業者や司法書士により異なりますが、合わせて50万円程度の費用が増加します。

つまり、ローンを利用した場合の諸費用合計は約200万円となります。さらにローン返済時には利子も支払う必要があり、現金一括購入より支払総額が大きく増加します。

物件2,000万円を金利3%、30年間のフルローンで借入した場合の返済額は月8万4,320円で、返済総額は3,035万5,200円となります。物件価格は2,000万円ですので、1,035万5,200円もの利子を負担する必要があります。

ただし、諸費用200万円のみを現金で支払い、上記のようにフルローンで物件を購入すると、初期に用意する資金は現金一括購入時のおよそ10分の1で済みます。

不動産投資ローンを使った方が良い人

初期費用を抑えたい方や自己資金の準備が難しい方には、利用価値がありそうです。

例えば、いま不動産価値が低いので購入したいけど手元資金がないという時に、不動産投資ローンを利用して購入します。
その後、不動産が値上がりした時に売却すれば、不動産投資ローンの利子よりも大きな利益を得ることできる可能性もあります。

ただし、現金一括購入よりも多くの利子や諸費用の負担があり、その分支出が増える点に注意が必要です。

不動産投資のデメリットを理解して検討を

安定収入があり、保険や年金の代わりになると言われることの多い不動産投資ですが、デメリットもあります。
具体的には、所有物件で発生する事件や事故のリスク、長期の空室となってしまうリスク、家賃の値下がりリスク、入居者トラブルといった、突発的なリスクが伴ってきます。

ローンを利用するしないに関わらず、不動産投資を検討されている方はリスクの大きさをよく理解してから始めましょう。

執筆日2023年3月31日
監修日2023年4月1日

執筆者 三上 諒子 (みかみ・りょうこ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

大阪市立大学商学部学士課程修了。学生時代にESG投資の有効性に関する研究を行う。主にESG・サステナビリティ領域の業務に従事、現在は企業のサステナビリティ・ガバナンス構築に向け活動中。地球のサステナビリティには最終的に消費者の力が必要と考え、消費者行動に影響を与えるファイナンシャルプランナーを目指す。

監修者 坪谷 亮 (つぼや・たすく)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。

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