第 15 回

子供の教育費はどう貯める?親子マネー会議で必要額の把握と行動を

三上 諒子

子供の教育費はどう貯める?親子マネー会議で必要額の把握と行動を

子育て世代が一度は悩む子供の教育費。

子供1人あたりの教育費は進学コース(国公立か私立)によっても変動しますが、文部科学省の調査によると、600万円〜1,800万円程度かかると言われています。

各家庭における教育費は年々値上がりしているため、楽観的ではいられない状況です。

今回は、教育費についての対策と親子で話し合う大切さについてご説明します。

出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します」

子供の教育費はどのように準備すればいい?

2010年から実施されている高校授業料の無償化や、2019年10月から開始された幼児教育無償化など、いくつかの国の教育費支援政策はあります。

しかし、各世帯が子供1人あたりにかける教育費は年々増加しています。「わが子に良い教育を受けさせたい」と思うあまり教育費に予算をかけすぎ、経済的な余力がなくなり老後資金が危ぶまれる家庭の例も少なくありません。

教育費が必要になるのは保育園や幼稚園の入園から大学卒業までの長期間にわたります。兄弟がいる場合は年齢差も考慮し、どの時期にお金を重点的にかけるか戦略を立て、受験期や進学時などの節目に資金をショートさせないようにする必要があります。

教育費を準備するうえでの基本は、高校生までの授業料や習い事費・塾代は日々の生活費の中で賄える範囲に抑え、大学進学費用を早めに貯めることです。

参考までに、私立大学の4年間の費用は平均420万円程度かかります。初等〜高等教育にかかる教育と比較して、大学費用が大きなウェイトを占めていることが分かります。

大学費用を貯めるために、まずはかかる費用を概算し、その費用を現在から必要となる時期までの年数で割り、毎年いくら貯めればいいのかを把握しましょう。

毎年の貯蓄額を把握したら、児童手当(全額で約200万円程度)+幼児教育無償化で浮く保育料分(現在3〜5歳の未就学児がいる世帯)を、教育費用の貯蓄に回します。それでも足りない部分は世帯の貯蓄分から割り当てましょう。

全額預金として貯めていくのも安全確実な方法ですが、一部を投資信託の毎月定額積立で運用するのも複利効果が働くので有効な手段です。

子供の進路希望、親の教育方針や教育費のかけ方を子供と話してみる

教育費を貯めるだけでなく、子供が思春期に入る前の小学生の頃から、親子でお金について定期的に話すことをお勧めします。

親の話を素直に聞いてくれる時期から、家の教育方針や費用のかけ方、家計の現状も出来たら隠さず話します。子供にもわかる言葉で繰り返し話し価値観を共有しておくと、中学・高校生になる時に子供自身、金銭的な事も含め総合的に考えて進学を選択してくれるようになるはずです。

また、早いうちから子供の希望を確認しておけば、その希望に合わせて計画を変えることも余裕をもってできます。金銭的なことも考えながら、できるだけ子供の夢を応援したいという親心もしっかり伝えておくと子供にも理解されやすいでしょう。

子供にお金の話をするのは抵抗を感じる方も多いかもしれませんが、家族の一員として家計の財務状態を把握しておくことは大事です。親子の話し合いを通じて子供に自分で選択させる練習をさせておくと自分で考える自立精神も育まれます。

うちは教育費をかけられないから「できない」ではなく、お金をかけなくても「これならできる」に発想を転換させてみましょう。

子供の未来に向けて一緒に行動を

子供にも、学校や習い事はこの位費用がかかるという具体的な金額と、実際にかけられる金額を伝えることで、将来に対する明確な希望や自覚が生まれます。

また、ただ「お金がないから無理」というよりも、家計の状況を子供なりに理解することで「やりたいこと、学びたい事はなるべく応援したいけど、かけられるお金は無限ではないから自分の状況に感謝して自ら選択をして、努力することを忘れないでほしい」という親の希望もきちんと伝わるのではないでしょうか。

執筆日2023年4月16日
監修日2023年4月20日

執筆者 三上 諒子 (みかみ・りょうこ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

大阪市立大学商学部学士課程修了。学生時代にESG投資の有効性に関する研究を行う。主にESG・サステナビリティ領域の業務に従事、現在は企業のサステナビリティ・ガバナンス構築に向け活動中。地球のサステナビリティには最終的に消費者の力が必要と考え、消費者行動に影響を与えるファイナンシャルプランナーを目指す。

監修者 坪谷 亮 (つぼや・たすく)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。

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