第 30 回

マイナス金利とは?家計に及ぼすメリット・デメリット

三上 諒子

ローンやキャッシングを利用すると元金に金利が加算されます。

日本は2016年からマイナス金利になりました。2022年6月には、欧州中央銀行が8年ぶりに利上げ、現在もアメリカではFRC(米連邦準備制度理事会)による歴史的な大幅利上げが続いていますが、日本は未だにマイナス金利です。

これは私たちの生活の中でどのような影響を及ぼしているのでしょうか。

マイナス金利とは?

マイナス金利ということは、例えば1万円のローンを組んでも、金利がマイナス1%なら9,900円を返済すればいいということでしょうか?

結論から言うと、残念ながらそのようなことはありません。

日本銀行の公式サイトに「5分で読めるマイナス金利」というQ&Aがあります。
https://www.boj.or.jp/announcements/education/exp/exp01.htm/

その説明は大まかにまとめると以下の通りです。

  • 民間の金融機関が日本銀行に預けている預金金利をマイナスにする
  • 個人が普通銀行に預金しているお金は別の話
  • 「マイナス」という言葉の響きはよくないが、企業利益が上がれば経済がプラスになる

市場への影響

日本銀行の解釈では、デフレからの脱却のために「マイナス金利は有効な経済政策」と考えられています。円安の影響もあってペットボトル飲料やカップ麺といった日用品価格はもとより、燃料価格も高騰していますが、日本は長期間経済成長が鈍化しています。

マイナス金利下で、金融機関は日本銀行に預金するよりも、企業や個人に貸し出して金利を得た方がよいでしょう。こうしてお金が市場に回ることで景気を刺激することが狙いです。

企業と個人への影響

実際に企業は銀行から借り入れを増やしたのでしょうか?
日本がマイナス金利を導入してから1年後の効果を検証した大和総研のレポートでは、「増えたけど伸び率はそれほどでもない」と報告されています。これは大企業に潤沢な内部留保があるため、借り入れ元の多くが中小企業だからです。

では、個人に影響が出る点はどこでしょうか?
マイナス金利は金融機関の民間企業への貸出を促し、企業の成長投資を促進するものであり、理論上は経済活動で得られた利益が従業員である個人にも賃金の増加によって還元されるはずですが、賃上げ率は低下傾向にあります。

また、銀行がそれまで預金残高によって無料だった「ATMの時間外手数料」や「振込手数料」を引き上げ、普通預金の金利も限りなくゼロに近くなりました。ただし、以前から普通預金の金利はほぼゼロに近い状況だったので、この影響は微々たるものでしょう。

マイナス金利のメリット

メリットとして、まず第一に住宅ローンの金利が引き下げられました。
人生で最も大きな出費である住宅ローンの金利が下がることは、家計に直結するメリットと言えます。

もう一つは、円安が進むことで海外から日本株が買われ、株価が上昇することです。上述の通り、資金調達によって日本企業が投資を行えば、事業成長による利益が最終的に従業員である個人に還元されます。
また、円安になると海外からの観光客が増加し、観光業に大きな利益をもたらします。新型コロナ感染症に対する規制緩和が進み、外国人観光客も増えていることから、このメリットは今後より大きくなる可能性があるでしょう。

マイナス金利下で個人ができること

5年以上経過したマイナス金利政策ですが、十分な成果が得られたとは言い難いでしょう。

住宅ローンの低金利も今後の金利政策次第では利上げされる可能性もあり、また賃上げ率の向上も鈍化している中、マイナス金利による個人に対する良い影響は微々たるものです。

ATM手数料が有利な銀行をメインバンクとして検討するなど、身近なところからメリットを得られるポイントを探り行動していきましょう。

執筆日2023年4月16日
監修日2023年4月20日

執筆者 三上 諒子 (みかみ・りょうこ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

大阪市立大学商学部学士課程修了。学生時代にESG投資の有効性に関する研究を行う。主にESG・サステナビリティ領域の業務に従事、現在は企業のサステナビリティ・ガバナンス構築に向け活動中。地球のサステナビリティには最終的に消費者の力が必要と考え、消費者行動に影響を与えるファイナンシャルプランナーを目指す。

監修者 坪谷 亮 (つぼや・たすく)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。

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