第 138 回

インパクト投資とは?社会課題解決型の新しい投資手法

三上 諒子

インパクト投資とは?社会課題解決型の新しい投資手法

近年、「インパクト投資」という投資手法が世界で注目を浴びています。
経済的リターンと並行して、社会や環境へのインパクトを同時に生み出すことを意図する投資のことを指します。今回は、「インパクト投資」について解説します。

インパクト投資とは?

インパクト投資とは、貧困層支援や環境問題・教育問題など社会的課題の解決に取り組む企業や領域に投資し、経済的なリターンと社会的なリターンの両立を実現する投資手法です。

投資先の評価は、従来のリスク・リターンという経済的な二次元評価に、社会的リターンを含めた三次元評価になります。

インパクト投資には、経済的利益だけでなく、社会的目標の達成が求められます。
社会的目標として、例えば社会的課題を抱える国の現地の生活を向上させる、多くの家庭に安全な水を供給するといった目標が設定されています。

インパクト投資の状況

2000年代から欧米を中心に発展してきた投資手法ですが、金融危機を契機に急速な拡大がみられるようになりました。

インパクト投資の世界的なネットワークであるGlobal Impact Investing Network(GIIN)によると、2021年12月時点の世界におけるインパクト投資残高は1,164兆ドルと推計されています。

また、一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)によると、日本国内におけるインパクト投資残高は13,204億円と推計されています。

投資家層

インパクト投資の投資家層は、主に機関投資家と個人投資家に分けられます。

機関投資家

受託者責任の観点から、最低限の財務的リスクのスクリーニングを経て、社会的インパクトを最大化するための投資を行います。

運用機関が従来のESG投資の枠組みを発展させてファンドを組成したり、財団や学術機関が自己勘定で運用を行ったりします。また、事業会社が自己資金でインパクト投資を行うこともあります。

個人投資家

特定のテーマに投資をしたい、あるいはリスク許容度が高く、より環境や社会のリターンを大きくしたいと考える個人投資家は、社会的投資家としてインパクト投資を行います。

インパクトを生み出す社会的事業に資金を提供する「投資型クラウドファンディング」の一環として、インパクト投資を行うこともできます。

インパクト投資におけるリスク

従来の投資と同様に、インパクト投資にも以下のリスクがあります。

日本国内の投資型クラウドファンディングの場合

  • 元本割れが生じるリスク
  • 途中解約をしたり他の人に売ったりできない
  • 貸付先の遅延(返済が遅れる)するリスク

海外の投資型クラウドファンディングの場合

日本国内の投資型クラウドファンディングに投資した場合のリスクに加え、以下のリスクもあります。

  • 為替の影響でマイナスになるリスク
  • 投資先の国の政治・経済の状況が変わるリスク
  • 法や制度が変わることに伴うリスク

インパクト投資におけるリターン

インパクト投資のリターンには従来の経済的なリターンに加え、社会的インパクトというリターンがあります。
社会的インパクトが得られない(設定した目標が達成されない)場合には、経済的リターンがあっても投資として成功したと言えるのか、個人の投資では価値観によって判断が異なります。

経済的リターンも、社会的リターンも得るために

寄付ではなく投資を通じて、経済的リターンを享受しながら社会的課題を解決したい人が増えています。共感を呼べば資金が集まり、問題解決の大きな力になります。

インパクト投資を行う際には、取り扱い業者の信頼性やファンドのリスクも調べて慎重に投資しましょう。

執筆日2023年3月31日
監修日2023年4月20日

執筆者 三上 諒子 (みかみ・りょうこ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

大阪市立大学商学部学士課程修了。学生時代にESG投資の有効性に関する研究を行う。主にESG・サステナビリティ領域の業務に従事、現在は企業のサステナビリティ・ガバナンス構築に向け活動中。地球のサステナビリティには最終的に消費者の力が必要と考え、消費者行動に影響を与えるファイナンシャルプランナーを目指す。

監修者 坪谷 亮 (つぼや・たすく)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。

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