第 144 回

個人再生とは?メリット・デメリットを解説

三上 諒子

個人再生とは?メリット・デメリットを解説

「個人再生」は、任意整理と自己破産のデメリットを解消した債務整理の方法の一つです。民事再生法にしたがって再生計画案を作成して、返済することになります。

個人再生とは

「個人再生」とは家や土地などの資産がある場合や、住宅ローンを抱えていて自宅を手放せない場合に有効な債務整理の方法の一つです。

主に小規模の事業を営んでいる人などが対象の「小規模個人再生」と、サラリーマンなどを対象とした「給与所得者等再生」の2種類があります。
どちらも「将来的に安定的な収入が見込まれること」と「負債総額が5,000万円を超えていないこと」が条件となります。

「小規模個人再生」の方が「給与所得者等再生」よりも返済金額が少額となることが一般的ですので、サラリーマンなどの給与所得者であっても「小規模個人再生」を利用する場合が多いと言われています。

メリット

個人再生を行うためには地方裁判所を通して手続きを行い、再生計画案を作成して認可されることによって、借金を減額できます。

小規模個人再生手続きを行い認可された場合、目安として、住宅ローンを除く借金の総額に応じて最低返済額は以下のように変化します。

  • 100万円未満の人・・・・・・総額全部
  • 100万円以上500万円以下の人・・・・・・100万円
  • 500万円を超え1500万円以下の人・・・・・・総額の5分の1
  • 1500万円を超え3000万円以下の人・・・・・・300万円
  • 3000万円を超え5000万円以下の人・・・・・・総額の10分の1

減額された借金は原則3年(特別な事情がある場合は5年)で返済することになります。借金の軽減は任意整理のように交渉で行うのではなく、裁判所の強制力があるため、減額の交渉が失敗することはありません。

自己破産と違って家や土地などの不動産を手放す必要がないので、一部の資産を守ることができます。また、個人再生の手続き開始決定後は、給与の差し押さえなどを防ぐことができます。

デメリット

デメリットとして、住宅ローンの返済は借金の減額対象に含まれない点が挙げられます。そのため、住宅ローンはそれまでと同じように支払いを続ける必要があります。

個人再生は裁判所を通して行うので、官報に掲載され、信用情報機関には金融事故として登録されます。そのため、5年から10年間はブラック扱いになり、新規のクレジット契約が極めて困難になります。

特徴と注意

個人再生の手続きを弁護士に依頼すると、弁護士費用と実費がかかります。一方、弁護士に依頼せず自力で行うと、多くの裁判所では個人再生委員を選任します。

個人再生委員は裁判所に代わって手続きを監督する弁護士のことであり、報酬を一定期間内に納付する必要があります。

「小規模個人再生」の場合は過半数の債権者が反対の意思を表明すると、裁判所は個人再生の認可決定が出せません。「給与所得者等再生」は債権者の同意は不要のため、債権者が反対の意思を表明しても影響はありません。

しかし、実際は給与所得者等再生で債権者が反対票を投じることは少ないと考えられます。なぜなら反対票を投じると大半は破産手続きとなるため、債権者がさらに損をする可能性が高いためです。

「小規模個人再生」の方が返済金額などの面でメリットが大きいので、まずは小規模個人再生を申請して、認可されなければ「給与所得者等再生」を検討することになります。

適切な債務整理の選択を

個人再生は裁判所の強制力があるため、任意整理のように交渉が決裂することはありません。また、自己破産と違って財産を処分する必要がありません。

ただし、住宅ローンを支払い続ける場合は毎月の返済額が大きくなるため、慎重な再生計画案の作成が重要となるでしょう。

執筆日2023年4月20日
監修日2023年5月8日

執筆者 三上 諒子 (みかみ・りょうこ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

大阪市立大学商学部学士課程修了。学生時代にESG投資の有効性に関する研究を行う。主にESG・サステナビリティ領域の業務に従事、現在は企業のサステナビリティ・ガバナンス構築に向け活動中。地球のサステナビリティには最終的に消費者の力が必要と考え、消費者行動に影響を与えるファイナンシャルプランナーを目指す。

監修者 坪谷 亮 (つぼや・たすく)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。

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