第 152 回

特定調停とは?メリット・デメリットを解説

三上 諒子

特定調停とは?メリット・デメリットを解説

「特定調停」とは、簡易裁判所を介して話し合いで借金を整理する方法です。申し立て手続きから調停までを原則として自分で全て行うため、費用を格段に抑えることができます。その代わり、何度か裁判所へ行く必要があります。

特定調停とは

特定調停の申し立ては、債権者の住所を管轄する簡易裁判所に対して行います。
裁判所に必要書類を提出すると調停委員が選任され、申し立て者と調停委員で返済計画案を作成していきます。返済計画案を作成したら調停期日が設定され、債権者との間で協議を行うことになります。

各債権者が返済計画に同意した場合には、最終的な返済計画が記載された調停調書が作成されます。債権者が返済計画に同意しない場合には、異議を出すことができます。その場合、特定調停は成立せず、その他の債務整理手続きを検討する必要があります。

メリット

申し立てから調停に至るまで原則として全て自分で行うことができるため、弁護士や司法書士に依頼する費用が必要ありません。法的な知識を必要とせず、費用を抑えることが可能です。

特定調停の申し立てを行うと、速やかに裁判所から債権者へ申立受理通知書が発送され、申立人の抱えている借金の返済が一時的に停止します。

デメリット

特定調停の手続きは債権者ごとに合意する必要があるため、手間と時間がかかり、何度も裁判所に足を運ぶことになります。裁判所は原則として土日祝日はお休みなので、平日に仕事をしている場合は、裁判所に行くたびに仕事を休む必要があります。

特定調停を行うと、信用情報機関には「金融事故」として登録されます。事故情報の登録期間は「特定調停の申し立て開始から5年」の場合と、「完済してから5年」の場合の2通りがあります。返済期間が3年とすると、後者の場合は合計8年間ブラック状態となります。

注意点

特定調停は、借金を継続的に返済することを前提として話し合いを進めているので、話し合いの結果出来上がった「調停調書」の通りに返済する必要があります。特定調書は裁判の判決と同じ効力を持つので、もし約束の通りに返済ができなければ、強制執行を受ける可能性があります。

また、調停委員は必ずしも債務整理の専門家というわけではないので、決定内容によっては、債務者にそれほど有利な調停内容にならない可能性があります。

慎重な返済計画を

特定調停は申し立てから調停まで自分で行うことができるので、費用を抑えることができるのが一番のメリットです。

しかし、返済が滞ると、強制執行で給料差し押さえなどの可能性があるので、合意に至った内容の通りに返済することを第一に心がけましょう。

執筆日2023年4月20日
監修日2023年5月8日

執筆者 三上 諒子 (みかみ・りょうこ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

大阪市立大学商学部学士課程修了。学生時代にESG投資の有効性に関する研究を行う。主にESG・サステナビリティ領域の業務に従事、現在は企業のサステナビリティ・ガバナンス構築に向け活動中。地球のサステナビリティには最終的に消費者の力が必要と考え、消費者行動に影響を与えるファイナンシャルプランナーを目指す。

監修者 坪谷 亮 (つぼや・たすく)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。

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