第 24 回

教育ローンと奨学金、借りるならどちらがいい?

保泉 美砂子

教育ローンと奨学金、借りるならどちらがいい?

子供の教育費、頭が痛いですね。教育ローンや奨学金など借入れ先の選択肢が多く、どれを選べば良いのか迷ってしまいます。
子供の将来にも関わる事なので、希望が叶えられるように準備はしてあげたいけれど、選び方を間違えると家計を圧迫し後々の返済に追われる事態にもなりかねません。

ここでは、教育ローンと奨学金の違いについてご説明します。

教育ローンと奨学金の概要

まずは、それぞれの制度概要を解説します。

教育ローン

教育ローンは使用用途が教育関連費に限られたもので、国の教育ローン(日本政策金融公庫の教育一般貸付)と民間金融機関の教育ローンに分かれます。

国の教育ローン

国の教育ローンは扶養する子供の人数に応じて世帯所得の上限額が設けられていますが、子供1人あたり350万円まで利用可能です。2022年11月現在、固定金利1.95%で最長18年の長期返済が可能になっています。

また、母子・父子家庭や世帯年収200万円以下の世帯など、一部の世帯については金利・返済期間・保証料などの優遇措置があります。

詳しい制度については、日本政策金融公庫のHPをご参照ください。
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/ippan.html

民間の教育ローン

民間の教育ローンは 様々な金融機関で取り扱っています。一般的に所得制限はなく、借入れできる金額は国の教育ローンより高額です。返済期間は5年~18年程で変動金利が多いようです。

それぞれの金融機関によって条件が異なる場合も多いので、利用する前にはしっかりチェックすることが大切です。

奨学金

奨学金は大きく分けて返還義務のない「給付型」と、卒業後に返還義務がある「貸与型」に大別されます。さらに「貸与型」は、利息があるものとないものに分かれます。

貸与型奨学金は民間団体や大学、地方自治体でも実施していますが、最も利用者が多いのは日本学生支援機構の奨学金です。

日本学生支援機構があつかう貸与型奨学金には、無利息の「第一種」と、利息ありの「第二種」があります。 第一種の選考基準はやや厳しいので、 第二種の利用が多くなっています 。 返済は学校卒業後(貸与期間終了の翌月から数えて7か月目)から開始となります。

経済的理由で進学をあきらめることがないよう、2020年4月から新しい奨学金制度がスタートしています。世帯年収の基準を満たしていれば、成績だけで判断せず、しっかりとした「学ぶ意欲」により支援を受ける事ができるようになりました。

これまで基準の厳しかった「給付型」奨学金についても、利用できる可能性が増えています。その他、詳しい情報 は独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)のHPをご参照 ください。
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/index.html

教育ローンと奨学金の違い

教育ローンと奨学金の大きな違いは「誰が借りるのか」、そして「いつから返済するのか」という点です。

教育ローンの返済

教育ローンは、親が借りて親が返済します。返済は借りた直後から始まりますが、国の教育ローンでは在学中は利息のみの返済が可能になります。

子どもの進学は、住宅ローンの返済期間と重なる場合も多く、家計には大きな負担となります。在学中の返済額が少なくなるのは親にとってはありがたい制度と言えるでしょう。

奨学金の返済

奨学金は、子供が借りて子供が返済します。日本学生支援機構の貸与型奨学金の場合、返済は卒業後に始まります。

この場合は、社会人になった途端に借金を抱えることになります。多くはない月々の給料の中から返済するので、貯蓄や生活費に回せる金額が少なくなる可能性もあります。

このように、教育ローンであっても奨学金であっても、借りたからには返済の義務が生じ、それぞれの生活に影響を与えます。教育資金は人生の三大資金とも言われるように、金額も大きくなるため、借り入れ前に十分検討する必要があるでしょう。

それぞれのホームページでは、返済シミュレーションができるようになっていますので利用してみましょう。その上で、親子で金額もふくめオープンに話し合い、納得できる方を選択しましょう。

親子で話し合いを

教育ローンと奨学金は、どちらか一方しか選べないわけではなく、併用して利用する事も可能です。様々な商品、選択肢があるので、親子で話し合う機会を増やせると良いですね 。

進学は子どもにとっては人生の大事な選択であり、できる限りそれを応援したいと思うのが親心です。どちらにとっても良い選択になるように、普段から子どもの希望や親の考えを伝え合うことが大切です。

まずは親子でしっかり話し合い、それぞれのご家庭に合った選択をしましょう。

執筆日2023年3月23日
監修日2023年4月1日

執筆者 保泉 美砂子 (ほずみ・みさこ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

長く教材制作会社にて、校正や原稿作成など、お金とはほとんど縁のない世界で仕事をしていたが、数年後にやってくる夫の定年退職を機に、一念発起。
二人の子供たちに背中を押され、FP資格取得に向けて勉強を開始し、無事合格を果たすことができた。
FPとしてのステップアップを目指そうと考えていたところに、FPSの求人と出会い、即応募。そして、現在に至る。

監修者 坪谷 亮 (つぼや・たすく)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。

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