第 50 回
消費者金融の金利が銀行カードローンより高い理由2つ
カードローンの上限金利を比較すると、銀行は概ね15.0%、消費者金融は概ね18.0%と、3%程度の差があります。「3%」という数字だけみると大差がないように感じますが、返済を始める段階でこの大きな差に気付くことになります。
今回は、銀行に比べ消費者金融の金利はなぜ高いのか、その理由について説明します。
金利に差が出る2つの理由
銀行に比べ消費者金融の金利が高くなる理由として、以下2つの理由が挙げられます。
1.融資資金の調達方法とコストの違い
銀行は、個人や企業からお金を「預金」として預かっています。預かることで銀行側に発生するコストは、預金をしてくれている相手への金利を支払うことです。
一方でその預金を原資として別の個人や企業に融資をおこない、金利を受け取る事で利益を出しています。
そのため、融資資金の調達も容易であり、コストも安く済んでいると言えるでしょう。
しかし、消費者金融は利用者へ融資をおこなうための原資を銀行から借りなければなりません。そして、銀行から借りたお金は利子を払って返さなければいけません。
つまり、銀行に比べ資金調達のコストがかかるのです。、原資を銀行に返済をしても利益を得られるように、利用者が負担する金利を高く設定する必要があります。
2.保証人や担保が不要で、貸し倒れリスクが銀行に比べ高いため
銀行のカードローンは個人にお金を貸し出す時に消費者金融等を保証会社にしているケースが多くあります。そのため、不良債権は保証会社に代わりに返済させることが出来るので、貸し倒れリスクを低く抑えることが可能です。
一方、消費者金融のカードローンのほとんどは、保証人や担保が不要となっています。保証人や担保がない状態とは、返済が滞った場合に保証や責任を負ってくれる人がいないということに他なりません。債務を肩代わりしてくれる存在がない分、貸し倒れリスクは高くなります。そのため、万一貸し倒れがあってもカバーできるように、金利は高めに設定されています。
これらの理由から、消費者金融は審査を緩めにして利用者の間口を広げていることが分かります。そして、貸し倒れがあっても他の利用者からの金利収入でカバーできるように、金利を高めに設定することでリスクマネジメントをしています。
利用前に必ず検討を
金利だけで考えると借り入れのしやすさは銀行カードローンに軍配があがりますが、審査スピードや借入れ希望金額、返済方法等、重視するポイントは人によって違います。
金利の低さも大事な条件ではありますが、それぞれのメリットとデメリットをよく理解し、ご自身の目的やにあったローンを検討しましょう。
執筆日2023年4月11日
監修日2023年4月21日
秋田県出身。大学卒業後はCAとして国内線・国際線に乗務。その後、J-REITの運用会社、外資系不動産会社にてバックオフィス職に従事。
フルタイムワーキングマザーとして奮闘するも、体調を崩し退職。
その際、資産管理やお金に関する各種制度に詳しくなる必要を感じ、FPを取得。
3児の母として、子どもには楽しんで働く親の背中を見せたいと、積極的に活動している。
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。