第 105 回
ひとり親家庭が教育費負担を減らすには?知っておきたい制度
厚生労働省の「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、母子世帯の推計世帯数は119.5万世帯となっています。
ひとり親家庭には公的な手当や支援がありますが、高校卒業後の進学費用に関して、どのような支援制度があるのか確認してみましょう。
給付型奨学金
まず初めに、返済の義務がない「給付型奨学金」の利用を検討してみましょう。
以下は「給付型奨学金」を提供する団体・組織の一例です。
- 独立行政法人 日本学生支援機構
- 公益財団法人 明光教育研究所
- 公益財団法人 電通育英会
- 公益財団法人 日本教育公務員弘済会
- 公益財団法人 日本財団
- 一般財団法人 全国母子寡婦福祉団体協議会
- 文部科学省官民共働海外留学創出プロジェクト
他にも、大学や地方公共団体でも給付型奨学金があります。
日本学生支援機構のホームページでは、進学資金のシミュレーションをすることができるので、ぜひ活用してみてください。
貸与型奨学金と公的支援(無利子)
次に、無利子の「貸与型奨学金」を検討してみましょう。
よく知られているのは、日本学生支援機構の「第一種奨学金」です。他にも各自治体や財団法人でも無利子の奨学金制度の利用者を募集しています。
また、奨学金以外に以下のような支援制度があります。
母子父子寡婦福祉資金貸付金
20歳未満の児童を扶養している、配偶者のないひとり親家庭に貸し付けられる制度を指します。
申請先は地方公共団体の福祉担当窓口です。資金の種類が目的別に分かれており、就学目的であれば「修学資金」や「就学支度資金」が該当します。
生活福祉資金
全国社会福祉協議会がおこなっている、低所得世帯を対象とする福祉資金の貸付制度です。
資金の種類が目的別に4種類に分かれており、進学目的であれば「教育支援費」や「就学支度費」が該当します。申し込みをする場合は、各地方の社会福祉協議会へ連絡します。
上記の支援制度は日本学生支援機構の奨学金と併用可能か、自治体によって判断が異なるので確認しましょう。母子・父子福祉協力員や民生委員との面接が必要になる場合もあります。
貸与型奨学金と公的支援(低利子)
利子が発生する場合であっても、低い金利で借りることができる貸与型奨学金もあります。
無利子での貸与奨学金と同様に、日本学生支援機構の「第二種奨学金」がよく知られています。日本政策金融公庫が取り扱う「教育一般貸付(国の教育ローン)」はひとり親家庭に対して、金利・保証料低減の優遇をおこなっています。
民間の教育ローン
民間の金融機関でも、教育ローンの制度があります。
一部の金融機関には「シングルマザー応援ローン」という商品がありますが、借り入れた資金の使い道は自由で、フリーローンのような扱いです。一般的な教育ローンの金利と比較すると高めの設定になりますので、利用条件をよく確認したうえで検討するようにしましょう。
支援制度をよく調べ、活用しよう
子どもが高校卒業後に大学などへの進学を希望した場合、より一層教育費の負担は重くなるものです。
ひとり親家庭に向けた支援制度は年々拡充されています。
教育費は金額も大きく、返済期間も長くなるため、給付型や金利の低い貸与型の奨学金をまずは検討してみましょう。
執筆日2023年4月19日
監修日2023年4月20日
秋田県出身。大学卒業後はCAとして国内線・国際線に乗務。その後、J-REITの運用会社、外資系不動産会社にてバックオフィス職に従事。
フルタイムワーキングマザーとして奮闘するも、体調を崩し退職。
その際、資産管理やお金に関する各種制度に詳しくなる必要を感じ、FPを取得。
3児の母として、子どもには楽しんで働く親の背中を見せたいと、積極的に活動している。
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。