第 64 回
共働き夫婦はペアローンが使える!ペアローンのメリット・デメリット
共働き夫婦が家を建てようとするとき、住宅ローンの選択肢が広がることを知っていますか?
夫婦どちらも働いていれば、住宅ローンも「一緒に返したい」と思う人も多いでしょう。
夫婦の収入を合算して組める住宅ローンには「ペアローン」があります。
ここでは、ペアローンとはどのような特徴の住宅ローンなのか、詳しく紹介していきます。
ペアローンとは
1軒の家を建てるために2つの住宅ローンを組むことを言います。
夫婦それぞれが住宅ローンに対して債務を負うと同時に、相手の住宅ローンの連帯保証人となります。
ペアローンを組むメリット
ペアローンは、夫婦それぞれが住宅ローンを組みます。そのため、夫婦どちらかの単独契約で住宅ローンを組むよりも大きな融資を受けることができます。
つまり、予算を増やしてワンランク上のの家を建てられる可能性が広がります。
共働き世帯の場合、単独契約の住宅ローンであっても、実質的には夫婦で返済することが多いかもしれません。
その点、ペアローンのほうが現実に即した形といえるでしょう。
また、ペアローンは金利プランを分けて組むこともできます。
例えば、返済比率の大きい夫の住宅ローンを長期固定プランで組み、少ない妻の方は金利の低い変動型を選んで短期間で返済できるようにするということも可能です。金利の上昇リスクを抑えることもできますね。
ペアローンにおける団体信用生命保険のメリット
ペアローンの場合、夫婦で互いに団体信用生命保険に加入できます。
夫のみが住宅ローンの契約をしている場合、たとえ夫婦の収入でローンを返済していたとしても、団体信用生命保険に加入できるのは夫だけです。実質的に返済を負担している妻が死亡した場合でも、住宅ローンの負担は一切減りません。
ペアローンで団体信用生命保険に加入していれば、夫婦どちらかが死亡したとき、死亡した者の債務は団体信用生命保険によって支払う必要はなくなります。
ペアローンにおける住宅ローン控除のメリット
住宅ローン控除は、夫婦それぞれの借入れに対して適用されます。
夫婦それぞれの所得税が税額控除となるため、世帯全体の節税効果が高まるといえます。
ペアローンのデメリット
ペアローンを利用すると借入額そのものが膨らんでしまいます。
返済額が多くなるということは、将来的に返済不可能な状態におちいるリスクもあります。
また、ローンを2つ組むことになるため、手続きに必要な登記費用・司法書士報酬・印紙代などの諸費用が2倍になります。
ペアローンは夫婦それぞれが団体信用生命保険に加入できることがメリットである反面、デメリットにもなり得ます。夫が死亡して団体信用生命保険が適用されても妻の分の債務は残り、妻は自分の住宅ローンを払い続けなければなりません。
幼い子どもがいる夫婦でどちらかが亡くなった場合、養育のために生活が変わってしまうこともあるでしょう。場合によっては勤務時間の短縮で収入が減ってしまうこともあるかもしれません。その場合でも、返済し続けることになります。
最近では珍しくないですが、離婚した場合もローンの返済はなくなるわけではありません。どちらかのローンに1本化して住み続けるか、または家を売却してローンを完済するか、どちらかの選択になるでしょう。
上手に利用して、理想の家を手に入れよう
自分たちの家を協力しあって返済していけるペアローン。一緒に返済することで、ふたりの絆も強まりそうですね。ふたりで融資を受けることで、理想の家を手に入れることも夢ではなくなるかもしれません。
共働き夫婦が住宅ローンを組む方法として、ペアローンの他にも収入合算といった手段もあり、契約方法や万が一のときのリスクが違ってきます。自分たちに合ったローンを上手に利用して、マイホームを手に入れましょう。ただし、デメリットがあることも忘れずに!
マイホーム購入を検討している共働きのご夫婦へ。
この先のすてきな未来のために、今じっくりと腰を据えておふたりで話し合ってみませんか。
執筆日2023年4月6日
監修日2023年4月11日
長く教材制作会社にて、校正や原稿作成など、お金とはほとんど縁のない世界で仕事をしていたが、数年後にやってくる夫の定年退職を機に、一念発起。
二人の子供たちに背中を押され、FP資格取得に向けて勉強を開始し、無事合格を果たすことができた。
FPとしてのステップアップを目指そうと考えていたところに、FPSの求人と出会い、即応募。そして、現在に至る。
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。