第 136 回
妊娠・出産でお金が足りない!妊娠・出産・育児の給付金や貸付制度など
赤ちゃんを授かったのは嬉しいけど、出産費用が足りない・・・と悩むケースは意外と多いものです。
今回は妊娠・出産の際に、国や自治体、健康保険組合などからもらえるお金や利用できる貸付制度について解説します。
妊娠・出産でもらえるお金(給付金・公的手当)
妊娠・出産でもらえるお金には、妊娠中に受ける妊婦検診の補助券や、出産時に受け取れる一時金などがあります。
妊娠中にもらえるお金と支援制度(補助券含む)
- 妊婦検診費の助成(補助券)
- 傷病手当金
妊婦検診費の助成(補助券)は、妊娠が分かった後に自治体に届け出をすると交付されます。厚生労働省は、妊婦検診の推奨回数を14回程度と公表していますが、現在助成を行っている自治体全てにおいて、14回以上の助成を行っております。なお、妊婦1人あたりの平均助成額は、106,211円となっています。(参考文献:厚生労働省「妊婦健康診査の公費負担の状況について(令和4年4月1日現在)」)
また、妊娠中にひどい悪阻などの体調不良によって会社を休まなければならなくなった場合、勤務先の健康保険組合から傷病手当金が支給されます。
出産後にもらえるお金
- 出産育児一時金(一児につき50万円)
- 出産手当金
- 育児休業給付金
- 児童手当
出産育児一時金は、一児につき50万円が一律で支払われる制度です。出産後に受け取ることが多いですが、直接支払制度を利用すると一時金が直接病院に支払われ、退院時に差額分のみ支払うだけで済みます。
出産手当金は、健康保険組合に加入されている人が出産した場合に、健康保険組合から出産で減ってしまう収入の補填として原則98日間支払われます。
妊娠・出産時に利用できる貸付制度
妊娠中から出産後の育児生活が落ち着くまで、働くことができず生活が苦しくなってしまう事があります。
そんな場合に利用できる様々な公的貸付制度があります。
出産費貸付制度
健康保険組合に加入する本人または配偶者を対象とした貸付制度です。出産に要する費用が必要な場合に、出産育児一時金が支給されるまでの間、無利子で貸し付けてくれる制度となっています。貸付金額は、出産育児一時金支給見込額の8割相当額を限度としている組合が多いです。
生活福祉資金貸付制度
出産費用以外の通院費やその後の育児資金が足りない場合は、生活福祉資金貸付制度を利用する事もできます。
生活福祉資金貸付制度は、低所得者世帯・障害者世帯・高齢者世帯に対して地方自治体が貸し付けを行う制度です。
また、状況によっては母子父子寡婦福祉資金貸付制度や、女性福祉資金などが受けられる場合もあるので、まずはお住まいの自治体に確認してみましょう。
妊娠・出産・育児の時に知っておきたいその他の制度
- 乳幼児の医療費助成
- 高額療養費制度
子供は病気にかかりやすく、その分通院にお金がかかってしまいます。そのため、子供の医療費については、通常の医療費3割負担よりも負担額が少なくなるよう、各自治体で助成が行われています。
また、自己負担額が一定額以上になった場合は、高額療養費制度を利用することで自己負担額を抑えることができます。
不安を減らすために様々な助成・貸付制度を知っておこう
妊娠・出産は女性にとって大きな出来事で、体調や精神面でも不安定になりやすいです。その上お金の心配もしなければいけないとなると辛いですよね。資金が足りない場合は、早めに周囲や自治体に相談し、公的制度を活用してください。
執筆日2023年3月26日
監修日2023年4月11日
滋賀県出身。大学卒業後の就職先で人事総務の仕事を担当。主に社会保険の手続きや給与計算を行っていたが、自身の知識不足を痛感し、FP資格を取得。
現在はさらなる知識向上のため、FP1級、CFP資格の取得を目指すとともに、「お金に苦労する人が少しでも減ってほしい」という思いを持って、FPとしての活動を行っている。
大学卒業後、数年フリーターを経験。その後IT企業へ就職し、システム運用業務に従事。IT企業への就職と同時に始めた一人暮らしで、思い通りに貯蓄が増やせないことに悩んでいた時にFPについて知る。
その後、自身の保険相談や資産運用の相談を通じて、FPの持つ可能性と奥深さに興味を持ち2級FP技能士を取得する。2019年5月AFP認定。現在はIT企業に勤務する傍ら、どんな状況でもお金に振り回されない人生を歩むためのガイド役となるべく活動している。