第 40 回
カードローンは完済して終わりではない!解約手続きと解約しない場合の影響
カードローンを完済したら自動的に契約完了ではありません。
解約の手続きをしなければ、住宅ローンの審査に影響がある可能性があります。
完済しても契約は残る
カードローンを完済すると借入残高はゼロになります。
しかし、消費者金融やクレジットカード会社との契約は自動更新されます。「カードは年会費無料だし、使わないけどこのまま持っておいてもいいか」と、そのままにしておくことで思わぬデメリットが生じることがあります。
解約しないメリットとデメリット
完済後も解約しない状態では、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
まず、メリットとしては「再度借り入れを申し込む場合に再審査が不要」です。解約手続きをしなければ、引き続き利用限度額内で借り入れをおこなうことができます。
その点では、「余計な借り入れをしてしまう可能性がある」というデメリットにもなり得ます。。さらに大きなデメリットとしてはが、住宅ローンの審査に影響することですが、この点については後述します。
ちなみに、解約後でも過払い請求は可能です。ただし、契約後10年を経過している場合は請求権がなくなっていることがあります。
住宅ローンへの影響
住宅ローンの審査に「返済負担率」という項目があります。
これは「既に借り入れている金額」と「これから借りる住宅ローン」の合計額が、1年間で年収に対してどのくらいの割合かを計算した比率です。借り入れをおこなう方の年収にもよりますが、一般的にはこの比率が30~35%以下であることが基準になっています。
審査の時、既に大きな借入残高があると、前述の返済負担率が高くなります。また、信用情報に事故歴(返済延滞)などがあると、審査ではマイナスに働きます。
注意しなければならないのは、契約が継続していると「いつでも借り入れが可能な状況」と見なされる場合がある点です。
すなわち、実際には借り入れをしていなくても、返済負担率の計算に含まれてしまう可能性があります。返済負担率の計算外だとしても、与信情報にマイナスと判断されると審査を通過する障害となります。
使わないカードローンは解約を推奨
借り入れの履歴を記録している信用情報は5年で消えることになっているので、カードローンを完済して解約すれば5年後には全ての記録が消えます。
しかし、解約しなければ契約は更新されるため、借入残高は無かったとしても利用可能枠はこれだけあるという情報が残ります。
カードローンの解約について過去の記憶が曖昧だという方は、信用情報を開示請求して確認しておくのが賢明です。
カードローンは完済後の解約まで意識しよう
カードローンを完済した直後は達成感と解放感でいっぱいでしょうが、落ち着いたら解約手続きまで済ませておくとさらに安心です。
カードの処分は、解約時に指示がありますので従いましょう。カード会社へ返送する、自分で処分するなどの方法があります。自分で処分する際には、カードにハサミを入れることで万が一盗難に遭い不正利用された場合のリスクも防止できますよ。
執筆日2023年4月14日
監修日2023年4月20日
秋田県出身。大学卒業後はCAとして国内線・国際線に乗務。その後、J-REITの運用会社、外資系不動産会社にてバックオフィス職に従事。
フルタイムワーキングマザーとして奮闘するも、体調を崩し退職。
その際、資産管理やお金に関する各種制度に詳しくなる必要を感じ、FPを取得。
3児の母として、子どもには楽しんで働く親の背中を見せたいと、積極的に活動している。
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。