第 57 回
クレジットカードの現金化は絶対ダメ!現金化の現状
「クレジットカードの現金化」という広告を目にすることがあります。
この方法は肯定派と否定派で主張が対立しています。この記事では、肯定派・否定派の主張と、クレジットカード現金化のリスクを解説します。
様々な情報からクレジットカード現金化を冷静に判断してください。
現金化の仕組み
簡単に説明すると「クレジットカードのショッピング枠を利用して現金を入手すること」です。主な方法は、現金化業者(以下「業者」)から商品を購入し、購入者特典としてキャッシュバックを受け取る方法と、クレジットカードで購入した商品を業者に買い取ってもらう方法があります。
違法性はある?
実は、この現金化自体を明確に「違法である」と規定する法律は設けられていません。行為自体は、クレジットカードで商品を購入しただけ、もしくは商品を購入後、不要になったものを売っただけの状態と同じになるからです。
ただし、多くのクレジットカード会社では、現金入手のためにカードを使うことを禁止しています。
契約内容と異なる行為をしながら明確な違法でないため、「グレーゾーン」と表現されることが多いです。
肯定派の主張
肯定派はまず、「違法ではない」ことを明言しています。
また、他の融資方法ではお金を手に入れることが難しい人にも利用できることがメリットだと主張しています。例えば、「審査不要で現金を入手できる」「カードローンの審査に通らない人でも利用できる」などです。すぐに現金を用意できないと困る人に向いていると案内しています。
否定派の主張
否定派は「クレジット会社は換金を目的としたショッピング枠の利用を認めていない」ことから行うべきではないと主張しています。
もし、クレジットカード会社が契約違反と判断した場合は、利用停止や解約になる場合があります。その場合、カードを利用した全額を一括請求されることになります。
クレジットカード現金化のリスク
クレジットカードの現金化には、カード解約以外にも様々なリスクがあります。
信用情報に傷がつく可能性がある
クレジットカード会社から解約させられると、信用情報に記録されます。いわゆる「信用情報に傷がついた」状態になり、それ以降新たな融資を受けにくくなります。
詐欺や犯罪に巻き込まれる可能性がある
現金化業者からお金が振り込まれなかったり、想定以上の手数料がかかり、ほとんどお金が入らないというトラブルが起きています。
また、申込に使用した個人情報を利用され、犯罪に巻き込まれるケースもあります。
自己破産ができなくなる可能性がある
クレジットカードの現金化は、自己破産の申請をして認められない場合があります。自己破産を考えるほど生活が困窮している状態で、借金返済から逃れられなくなってしまうのです。
客観的な判断を
クレジットカードの現金化は、日本クレジット協会、消費者庁など多くの人たちが警告しています。
法律的にはグレーであっても、クレジットカード会社との契約違反であり、様々なリスクを負うことになります。一時的な資金を得るために必要なリスクでしょうか?
執筆日2023年4月21日
監修日2023年5月8日
大学院修了後、IT企業や通信事業者でセールスエンジニア兼企画職として働く。
出産を機に退職し、お金を稼ぐ側から家計を守る側に立場が変わり、お金の守り方を知らなかったことを痛感。自分に合ったお金との向かい合い方を見つけるため、FP資格を取得する。
資格取得後は、FPの勉強を通じて得られた知識をもとに、よりよい家計管理を求め試行錯誤の日々を過ごす。
現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。