第 65 回

住宅ローン返済中に離婚!その後の支払いはどうすればいいの?

黒川 一美

住宅ローン返済中に離婚!その後の支払いはどうすればいいの?

住宅ローンの返済中に離婚することになってしまった場合、住まいはどうすれば良いのでしょう?

夫婦どちらが住み続けるのか、住宅ローンの返済は誰が行うのか、問題は多岐にわたります。
ここでは離婚のときの住宅ローン返済について解説していきたいと思います。

現状の把握

住宅ローンや家をどうするか決める前に、まずは家の名義や住宅ローンの契約内容について明確にします。

不動産名義

家の名義が誰になっているか、法務局で不動産の登記簿謄本を調べます。

不動産の時価・ローン残額

現在の不動産の価格とローン残額を調べます。
不動産の査定額よりもローン残額が下回れば売却で利益があり(アンダーローン)、ローン残額が上回ればローンが残ることになります(オーバーローン)。

住宅ローンの契約内容

債務者・連帯保証人などを契約書類で確認しましょう。契約上の債務者が離婚後もローン返済義務を負います。離婚後の住まいをどうするか話し合う上で重要な情報になります。

現在の残額について

不動産の査定額よりもローン残額が下回るとき、売却で利益が出ます。(アンダーローン)
ローン残高が上回れば売却してもローンが残ることになります。(オーバーローン)

離婚後に家を売却したい場合

アンダーローンの場合は、売却によってローン完済可能です。売却益が出た場合は夫婦で分けられます。

オーバーローンの場合、不足分を預貯金などで支払えないと通常の方法で不動産を売却できません。この場合、金融機関に相談し、許可が下りれば任意売却という方法を取れます。なお、残ったローンは不動産売却後も返済が続きます。

任意売却のメリット

住宅ローンの支払いが続けられなくなった場合、金融機関は競売という形をとります。
競売物件となると市場よりも低い価格で取引されることになりますが、両者協議のうえの任意売却という方法により、市場通りの価格で売買できるというメリットがあります。

離婚後も今の家に住み続けたい場合

夫婦どちらかが引き続き今の家に住む場合は、住む人と不動産の名義やローン債務者が誰かによって対策が変わります。

夫が家に住み続ける場合

不動産の名義が夫、住宅ローンの債務者も夫の場合、そのまま夫が住宅ローンの支払いを続けていきます。ただ、妻が連帯保証・連帯債務の場合、夫がローンを滞納すると妻に支払い義務が発生します。妻は住んでいない家の支払を求められることになります。

妻が家に住み続ける場合

不動産の名義が夫、住宅ローンの債務者も夫のケースを考えてみます。

夫の名義のまま妻が住宅ローンを支払う

ローンや不動産名義の変更を行わず、実質的な支払を妻が行う方法です。妻に収入があれば可能な方法ですが、妻が支払いを続けていても自分の名義の不動産にはなりません。

夫が妻に無断で住居を売却できるというリスクがあります。

夫の名義のまま夫が住宅ローンを支払う

夫が養育費の代わりにローンの支払いをするという方法を取れます。しかし、夫が支払いを滞納すれば、妻は立ち退きを求められる非常に不安定な立場になります。

夫がローンを支払わなくなった場合に備えて、ローンや養育費について公正証書を作成するなどの対策が必要です。

住宅ローンを借り替える

妻に安定した仕事があり、審査で妻の収入や財産で問題ないと見なされれば、妻が債務者となる借り換えが可能となります。
夫名義でローンを組んでいた銀行の残債を完済できるので、不動産の名義変更にも応じてもらえるでしょう。

離婚後の生活のために

離婚では様々な問題を抱え、冷静な判断が難しいことがあるかもしれません。そのような中でお金や住まいの決断をするのは負担が大きいかもしれません。
しかし、今後の生活に深くかかわる部分です。よりよい生活のためにじっくり検討してみてください。

執筆日2023年4月21日
監修日2023年5月8日

執筆者 黒川 一美 (くろかわ・かずみ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

大学院修了後、IT企業や通信事業者でセールスエンジニア兼企画職として働く。
出産を機に退職し、お金を稼ぐ側から家計を守る側に立場が変わり、お金の守り方を知らなかったことを痛感。自分に合ったお金との向かい合い方を見つけるため、FP資格を取得する。
資格取得後は、FPの勉強を通じて得られた知識をもとに、よりよい家計管理を求め試行錯誤の日々を過ごす。
現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。

監修者 坪谷 亮 (つぼや・たすく)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。

FPおすすめコラム記事

最新FPコラム

ちょっと待って!
あと 以内の申し込みで
今日借りられる可能性があります!
今から申し込み明日の午前中
に借りられる可能性があります!

最短短即日融資可能/WEB完結なら社会保険証でお勤め先確認完了!電話連絡なし
※審査に通過すれば、原則24時間最短3分でお振込み

閉じる
簡易検索