第 106 回
住宅や土地の契約をするときに確認しておきたい「住宅ローン特約」とは
住宅の購入は人生でもっとも大きな買い物の一つですが、いざ契約!となったときに住宅ローン審査が通らないと困ってしまいますよね。
そのようなリスクを回避するために、住宅ローン審査が通らなかったときに売買契約を無効にする特約事項、「住宅ローン特約」があります。
今回は、住宅や土地の契約をするときに確認しておきたい「住宅ローン特約」について解説します。
住宅ローン特約とは?
住宅ローン特約は、「住宅ローンの本審査が通らない場合に無条件で契約を解除することができる」という特約事項で、住宅購入の売買契約書に記載されています。
住宅ローン審査を申し込むには、売買契約書が必要となります。つまり、住宅ローンを借りられるかわからない状態で契約をしなければいけないのです。
高額の契約を締結した後に「住宅ローン審査が通らなかった!」となると、買い手も売り手も困ってしまいます。
そこで「住宅ローンの本審査に通らなければ違約金等の負担をすることなく、手付金が返還され、無条件で契約を解除します」という約束のうえ、契約をするのです。
住宅ローン特約の種類
住宅ローン特約には2種類あります。
- 本審査に落ちた場合、自動的に契約が解除となる「解除条件型」
- 本審査に落ちた場合、買主が自ら契約の解除を申し出る「解除権留保型」
解除条件型
解除条件型を選択している場合、住宅ローンの本審査に通らなければ自動的に契約が解除されます。
購入したい思いがあったとしても、その時点でその物件の購入は不可能となります。
買主自ら契約解除の手続きをする必要はありませんが、本審査に通らなかった場合の選択肢がなくなるというデメリットが挙げられます。
解除権留保型
解除権留保型は、住宅ローンの本審査が通らなかった場合、契約を解除する権利が買主に与えられます。
通告期間内に契約を解除するか、もしくは購入のために他の方法を探す、のどちらかを選択できます。
解除の通告期限を過ぎてしまうと契約解除が不可能となり、必ず資金を調達しなければならなくなります。
資金調達ができず契約解除の通告期限後に契約を解除したい場合は、買主の事情による契約解除となるため、手付金は返金されず、場合によっては違約金を請求されることもあります。
こういったリスクを考えれば、本審査が通らなかった時点で自動的に契約が解除される「解除条件型」の方が安全かもしれません。
特約の注意点
特約を利用する際、以下のケースに該当すると見做されると住宅ローン特約による契約解除が、認められないこともあります。
- 本審査に通らないよう買主が画策した場合
- 指定された金融機関以外に融資を申し込み、断られた場合
住宅ローン特約を理解した上で契約しましょう
住宅ローン特約がなければ、住宅ローンの本審査に落ちたとしても契約を解除できません。
こういったリスクを回避するために、必ず契約時には住宅ローン特約の有無を確認しましょう。
また、自動解除なのか、買主都合による解除なのかによって、手付金や仲介手数料の返還などに大きな差がでる場合があります。住宅ローン特約のこういった条件等を含め少しでも疑問に思うことがあれば、業者に確認しておきましょう。
住宅ローン特約の内容と注意点をしっかりと把握したうえで、契約を結んでくださいね。
執筆日2023年3月15日
監修日2023年4月11日
上海出身、東京都在住。上海の大学を卒業後、日系の広告代理店に9年間勤務。
2015年に来日、結婚をきっかけに家計管理を任され、日本の税制や保険などに興味を持ち始める。
お金の知識を豊富にしたく、世の中の複雑な経済の仕組みを知りたいため、FP2級を取得。今後はFP1級やCFPも目指している。
現在はインバウンド業界に従事しながら、FPとしても活動中。
大学卒業後、数年フリーターを経験。その後IT企業へ就職し、システム運用業務に従事。IT企業への就職と同時に始めた一人暮らしで、思い通りに貯蓄が増やせないことに悩んでいた時にFPについて知る。
その後、自身の保険相談や資産運用の相談を通じて、FPの持つ可能性と奥深さに興味を持ち2級FP技能士を取得する。2019年5月AFP認定。現在はIT企業に勤務する傍ら、どんな状況でもお金に振り回されない人生を歩むためのガイド役となるべく活動している。