第 47 回

老後にお金を借りることはできる?シニア世代のキャッシングや公的支援制度

保泉 美砂子

老後にお金を借りることはできる?シニア世代のキャッシングや公的支援制度

日本賃貸業協会のデータをみると、60歳以上の借入経験のある個人は、19.6%もいます。
現在、65歳以上の高齢者が約3,600万人を超え、ますます高齢化が進み、さらに需要は増えていくでしょう。

今回は、シニア世代のキャッシングやカードローン、また国や自治体の公的支援制度についてみていきます。

シニアのキャッシング・カードローン

シニア向けのキャッシングやカードローンは、思っているよりも多くの種類があります。。消費者金融のカードローンは、無担保無保証人の商品も増えていて、即日融資などお金を借りるまでに時間がかからないというメリットがあります。金利は高めですが、年齢制限も80歳まで融資可能な場合もあり、シニアにとっては利用しやすくなっています。

銀行カードローンは、金利は低めに設定されていますが、収入などの審査もあり融資までに時間がかかります。年金以外に収入がない場合は、融資を受けるのは難しいでしょう。ただし、地方銀行にはシニア向けローンを扱っているところもありますので、利用しやすい場合もあるかもしれません。

また、大きな金額での融資を低金利で受けたい人には、「不動産担保ローン」という方法もあります。しかし、これは持ち家があるなど利用には前提条件がありますので、利用は限定的といえるでしょう。

返済方法は、毎月1,000円から無理のないように設定できたり、コンビニの提携ATMを利用したときは手数料が無料になるなど、便利になっていますので、上手に活用してしっかり返済しましょう。

シニア向けキャッシングやカードローンは、高齢化が進むにつれ、年齢制限も緩和される可能性はあるかもしれません。それぞれの金融機関によって条件などは異なるので、利用前には確認しましょう。

公的支援制度

キャッシングやカードローンを利用するのは不安があったり、年齢制限で借りられない場合など、国や自治体の公的制度を利用することもできます。

これまでは「年金担保貸付制度」という、高齢者に対して年金を担保にした融資制度がありました。しかし、生活費となるべき年金が返済にあてられ利用者をさらに困窮させるのではないかという指摘により、令和4年3月末で終了しました。

これに代わるものとして「生活福祉資金貸付制度」があります。これは高齢者や障害者、低所得者世帯などの生活を経済的に支えることを目的にした制度で、各地域の社会福祉協議会が実施しています。

高齢者の場合は、65歳以上という条件があります。資金の種類によって上限額や保証人が必要かどうかなどが決められていて、実際に融資を受けるまでには時間がかかる場合もあります。しかしこの制度では、経済的支援だけでなく地域の民生委員による相談支援などもあわせて行っているのでより安心ということも言えるでしょう。

ただし、この制度は「生活困窮者自立支援制度」と連携して行われているので、利用するにはまず自立相談支援期間を利用することが条件になっています。お金を借りる前に、まずは相談をということになります。

充実した楽しい老後を過ごせるように

今のシニア世代は、医学の進歩や食生活の変化により、高齢になっても元気な方も多くなっています。老後の楽しみとして趣味・旅行・外食をしたり、改めて学びに学校へ通ったりすることもあるでしょう。

反対に、ご自身の体調不良やシニアとはいえ親の介護などが必要な場合や、晩婚化の影響で退職後も住宅ローンが残っている場合もあるかもしれません。

それぞれの事情によりお金が必要になることもあります。。もし、老後に借入が必要になったときには、目的や状況に応じてキャッシングやカードローンを上手に使い分けることが大切です。また、公的制度の利用も検討してみましょう。

老後の生活が充実した楽しい毎日になるように、お金のこともふくめた今後のライフプランを考えてみてはどうでしょう。そのうえで、借入れなどについても調べておくと良いかもしれません。

出典:日本貸金業協会「令和4年度 資金需要者等の現状と動向に関する調査結果報告」

執筆日2023年3月26日
監修日2023年3月28日

執筆者 保泉 美砂子 (ほずみ・みさこ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

長く教材制作会社にて、校正や原稿作成など、お金とはほとんど縁のない世界で仕事をしていたが、数年後にやってくる夫の定年退職を機に、一念発起。
二人の子供たちに背中を押され、FP資格取得に向けて勉強を開始し、無事合格を果たすことができた。
FPとしてのステップアップを目指そうと考えていたところに、FPSの求人と出会い、即応募。そして、現在に至る。

監修者 坪谷 亮 (つぼや・たすく)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。

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