第 72 回
カードローンやキャッシングの上限金利は?
消費者金融のみならずクレジットカード会社・銀行等でキャッシングを利用する際は、借りたお金に対しての金利を支払う必要があります。
2010年6月、利用者の金利負担が大きくならないよう、お金を貸す企業に対し「お金を貸す際はこの金利を超えてはいけませんよ」という上限金利が改定され、大きなニュースとなり世間を賑わせました。
「グレーゾーン金利」撤廃の背景
貸金業者の場合、上限金利において以下2つの法律で規制されています。貸金業者の場合、上限金利において以下2つの法律で規制されています。
(1)「利息制限法」
上限を超えた金利が無効となる法律
借り入れ金額に応じ、15%~最高20%
(2)「出資法」
刑事罰の対象となる上限金利を定めた法律
(2)の出資法は、2010年6月以前は29.2%と高い金利を設定をされていました。
この(1)と(2)の間である「20%~29.2%の金利帯」が、「グレーゾーン金利」と呼ばれ、この高い金利帯でお金を貸し付ける業者が多く存在したのです。
そこで、このグレーゾーン金利の撤廃と利用者負担軽減のため、(2)の出資法の金利を20%に引き下げることで、(1)と同様の上限金利を実現しました。
現在の法定金利
2023年現在、法定金利は貸金業法で厳密に定められています。金利の上限は、借り入れ金額の元本により以下のように違いがあります。
- 元本の金額が10万円未満のときの上限金利 → 年20%
- 元本の金額が10万円以上から100万円未満のとき上限金利 → 年18%
- 元本の金額が100万円以上のときの上限金利 → 年15%
※出典:日本貸金業協会
借り入れ金額の返済が遅れた場合の金利は?
貸金業者から借り入れをおこなったお金の返済が遅れた際に発生する金利のことを、遅延損害金(遅延利息)といいます。
返済が遅延している期間に応じて計算されますが、この利息も上限は年20%です。滞納してしまうと支払額が大幅に増加していきますので、返済が厳しいと感じた時点でカードローン会社に相談することをおすすめします。
上限金利を知り、カードローンとは賢く付き合おう
急に資金が必要になった場合などに、カードローンは便利なサービスです。しかし、借入れた元本には高い利息がつき、計画的な返済が求められます。
定められた返済日に遅れてしまうと、遅延損害金も発生し、さらに支払額が大きくなってしまうことも忘れてはいけません。
正しい知識を身につけ、賢くお金と付き合っていきましょう。
執筆日2023年4月18日
監修日2023年4月20日
秋田県出身。大学卒業後はCAとして国内線・国際線に乗務。その後、J-REITの運用会社、外資系不動産会社にてバックオフィス職に従事。
フルタイムワーキングマザーとして奮闘するも、体調を崩し退職。
その際、資産管理やお金に関する各種制度に詳しくなる必要を感じ、FPを取得。
3児の母として、子どもには楽しんで働く親の背中を見せたいと、積極的に活動している。
FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。