第 1 回

カードローンでお金を借りる前に知っておきたい「総量規制」とは?

黒川 一美

カードローンでお金を借りる前に知っておきたい「総量規制」とは?

お金を借りたい時、まず気になるのは自分が借りられるのか、そして、いくら借りられるか、ではないでしょうか。
カードローンでお金を借りる条件の1つに「総量規制を守ること」があります。

今回は守るべき「総量規制」ついてご説明します。

「総量規制」とは?

総量規制とは、個人が借りられるお金の総額の制限です。消費者金融会社からの借入れや、クレジットカードのキャッシング枠を対象にしています。

総量規制は、お金の借り過ぎによる自己破産が社会問題になったことで、お金の借り過ぎを防止するために「貸金業法」という法律を改正して制定されました。この法律により、利用者の年収の3分の1を超える貸付が原則禁止されました。

例えば、年収300万円の人の場合は「すべての借入れ合計額=100万円」が借入れの上限です。

では、カードローン会社は、どんな方法で借入れ金額が年収の3分の1を超えていないことを確認するのでしょうか。

カードローン会社では、借入希望者の借入総額を「指定信用情報機関」、年収を「年収を証明する書類」で確認します。なお、年収は自己申告でもいい場合がありますが、次のどちらかにあてはまると「年収を証明する書類」の提出が必須です。

  1. カードローン会社1社から50万円より多く借入れる場合
  2. 複数のカードローン会社合わせて100万円より多く借入れる場

総量規制の対象外となるもの

総量規制の対象外となる借入れもあります。

まず、「貸金業法」が適用されない、次のものは対象外です。

  • 銀行カードローン
  • クレジットカードのショッピング枠

また、「貸金業法」の適用対象でも、総量規制の対象外となる「除外貸付け」や「例外貸付け」があります。

「除外貸付け」は年収の3分の1ルールを合わせにくい、高額借入を長期で返済する契約や、担保のある契約です。
除外貸付けの代表的なものをご紹介します。

  • 住宅ローン
  • 自動車ローン
  • 高額療養費の貸付け
  • 有価証券や不動産を担保とする貸付け

「例外貸付け」は、借入の必要性が高いものや、借主が有利になるような契約です。その対象の例は次のようなものです。

  • おまとめローン
  • 借主や親族などの突発的な医療費支払のための借入
  • 夫婦の年収合算3分の1以下の貸付け(配偶者の同意が必要)
  • 自営業の方への貸付け(事業計画、収支計画、資金計画などの審査あり)

「例外貸付け」は総量規制に関わらず借入はできますが、借入金総額には加算されます。「年収の3分の1」を超えてしまうと、「例外貸付け」「除外貸付け」以外の借入ができなくなります。

借入れ希望金額は総量規制の範囲内?

総量規制は、借り過ぎ・貸し過ぎを防ぐために設けられた規制です。この規制により希望金額が借りられないこともありますが、お金の借り過ぎで生活難に陥ることから守るための制度でもあります。

仮にカードローンの借入れが必要となった場合でも、総量規制の範囲内に収めると借入が円滑に進む可能性があります。

執筆日2023年3月23日
監修日2023年4月11日

執筆者 黒川 一美 (くろかわ・かずみ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

大学院修了後、IT企業や通信事業者でセールスエンジニア兼企画職として働く。
出産を機に退職し、お金を稼ぐ側から家計を守る側に立場が変わり、お金の守り方を知らなかったことを痛感。自分に合ったお金との向かい合い方を見つけるため、FP資格を取得する。
資格取得後は、FPの勉強を通じて得られた知識をもとに、よりよい家計管理を求め試行錯誤の日々を過ごす。
現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。

監修者 阿部倉 弘子 (あべくら・ひろこ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

大学卒業後、数年フリーターを経験。その後IT企業へ就職し、システム運用業務に従事。IT企業への就職と同時に始めた一人暮らしで、思い通りに貯蓄が増やせないことに悩んでいた時にFPについて知る。
その後、自身の保険相談や資産運用の相談を通じて、FPの持つ可能性と奥深さに興味を持ち2級FP技能士を取得する。2019年5月AFP認定。現在はIT企業に勤務する傍ら、どんな状況でもお金に振り回されない人生を歩むためのガイド役となるべく活動している。

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