第 19 回

クレジットの始まりは?~クレジットの歴史を辿る(古代から中世編)

阿部倉 弘子

クレジットの始まりは?~クレジットの歴史を辿る(古代から中世編)

ショッピングとキャッシングに利用できるクレジットカード。
いつどうやって発明され、どのように普及していったのでしょうか?
この記事ではキャッシングを含めたクレジットの歴史を辿ってみたいと思います。

「クレジット」という言葉

日常生活ではクレジットカードの略で使ったり、映画の最後に名前が流れる表示をクレジットと呼びますが、クレジットとは英語で「信用」という意味があります。
確かにクレジット会社がお金を貸してくれるということは、信用に基づいて行われるため納得できます。

古代文明のクレジット

ではどのくらい昔からクレジットはあったのでしょうか?

これは今から約5,000年前にメソポタミア文明で記録が残されています。今のイラク・イラン・トルコにまたがるこの地域では、農業が早くから発展したものの資源に乏しく、金属・木材・石材を周辺との交易で手に入れていました。

そのためクレジットが成立する背景も整っていたようで、借用書やクレームが記録された粘土板が発見されています。

「目には目を。歯には歯を。」という言葉で有名なハムラビ法典には、貸借の記述とともに利率や債権、担保の範囲などが記録されています。自己破産や強制労働に関する記述もあり、古代から人類は借金返済に苦慮していたようです。

古代日本のクレジットは稲の貸し借り

日本の日本のクレジットは農耕の開始と共に始まりました。

貸し借りに使われたのは金銭ではなく「種もみ」と「稲」で、春先に種もみを貸し、収穫時に米で返済してもらうシンプルな形態でした。
その年の最初に収穫されたお米を「初穂」と呼び、蔵に収めて翌年の種まきに使うことで循環していきます。

飛鳥時代から奈良時代にかけて出挙(すいこ)という制度が確立され、お米以外に布・酒・金銭などが貸し借りに使われるようになりました。

708年に和同開珎(わどうかいちん)が鋳造・発行されると貨幣の流通がすすみ、当時の都である平城京から貨幣経済が広がっていきました。

武士の時代のクレジット

時代が進んで鎌倉時代になると、稲などの物品による貸付から現金での貸付が主流になります。

室町時代には地方銀行の原型となる無尽(むじん)と、質屋の元になる土倉(どそう)が出現します。この2つは足利尊氏の「建武式目」で保護されており、政府がクレジットを財政基盤の1つとして捉えていたことが伺えます。

クレジットの歴史は経済活動とともに始まった

以上、古代から近代以前のクレジットの歴史を辿ってみました。

世界では経済活動の成立と共にお金が生まれ、お金と共にクレジットが発展しました。
それに対して日本では、農耕の始まりと共にクレジットが生まれましたが、貨幣による貸借までは時間を要しているのが異なる点です。

執筆日2023年3月28日
監修日2023年4月1日

執筆者 阿部倉 弘子 (あべくら・ひろこ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

大学卒業後、数年フリーターを経験。その後IT企業へ就職し、システム運用業務に従事。IT企業への就職と同時に始めた一人暮らしで、思い通りに貯蓄が増やせないことに悩んでいた時にFPについて知る。
その後、自身の保険相談や資産運用の相談を通じて、FPの持つ可能性と奥深さに興味を持ち2級FP技能士を取得する。2019年5月AFP認定。現在はIT企業に勤務する傍ら、どんな状況でもお金に振り回されない人生を歩むためのガイド役となるべく活動している。

監修者 坪谷 亮 (つぼや・たすく)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。

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